エンジンを救う欧州最後の希望(前編) トヨタやBMWが推進する再生可能燃料 人気高まるドロップイン CO2削減に向けた現実的な一歩?
公開 : 2026.11.02 11:45
欧州で再びバイオ燃料への注目度が高まっています。CO2排出量を削減できるとしてトヨタやBMWが導入を推進していますが、「食料を燃やしている」という批判も。電動化が進む中、エンジンの救世主となり得るのでしょうか。
再生可能燃料が果たす役割とは
ドイツでBMWのディーゼル車を新車で購入すると、満タンの状態で納車される。ただし、その中身は軽油ではなく、「HVO100」と呼ばれるドロップイン型の再生可能代替燃料だ。
HVOは「水素化処理植物油(hydrotreated vegetable oil)」の略だが、ガソリンと同様に、多種多様な有機廃棄物を原料として製造でき、化石由来のガソリンや軽油と化学的に同等の炭化水素で構成されている。

BMWやトヨタなど一部の自動車メーカーは、こうしたバイオ燃料を使用することで化石燃料に比べCO2排出量を大幅に削減できるため、2035年(欧州で内燃機関車が実質的に禁止される年)になっても内燃機関車が単なる富裕層の遊び道具になるのを防げると主張している。
ベルギーのブリュッセルで最近開催されたイベントで、欧州トヨタの最高技術責任者である安井慎一氏は、「炭素排出量を可能な限り迅速かつ大幅に削減することを真剣に考えるなら、再生可能燃料は大きな役割を果たすでしょう」と述べた。
トヨタは、欧州で新しい車両カテゴリー「VEEF」の創設を提案している。「適格燃料のみで走行する車両(Vehicles running Exclusively on Eligible Fuels)」の頭文字をとったもので、基本的にはバッテリーEVと同様にゼロ・エミッション車として扱われることになる。
欧州で進む再評価の動き
バイオ燃料は、例えば小麦からエタノールを製造する場合のように、「食料を燃やしている」という批判を受けている。しかし、最新のバイオ燃料は、使用済み食用油、下水中に含まれる油脂、ウイスキー製造過程で生じるポットエール(残留液)、あるいは食用に適さない動物の死骸など、多岐にわたる廃棄物から作られている。こうした動きがきっかけとなり、バイオ燃料は政府や規制当局の間で再び注目を集めているのだ。
化石燃料には、かねてより少量のバイオ燃料が混合されてきた。例えば、バイオエタノールを10%配合したE10ガソリンは2021年以降、英国のガソリンスタンドにおける標準的なオクタン価95の燃料となっている。

しかし、最近、新しい100%ドロップイン代替燃料(純エタノールとは異なり、エンジンの改造を必要としないことからそう呼ばれる)の人気が高まっている。例えば、HVO100はドイツ国内の約8000か所のガソリンスタンドで購入可能であり、世界的なエネルギー分析会社アーガス(Argus)の調査によると、今年の軽油市場におけるシェアは約25%にまで上昇した。
バイオ燃料は一般的に通常の燃料より高価だが、今年軽油価格が急騰したため、「多くの地域」でHVOとの価格差は1Lあたり0.04~0.08ユーロ(約7~14円)以内に縮小し、一部ではそれを下回るケースさえあると、アーガスの調査では指摘されている。














