【レーシングドライバー塚本ナナミのスーパー耐久参戦記】第6回:スタート5分前、雨が運んできた決断

公開 : 2026.11.07 07:05

2台の違う選択

私たちAndLegal Racingは821号車と822号車の2台体制で、タイヤの選択はそれぞれのスタートドライバーに委ねられました。

ここで2台の判断が、きれいに分かれたのです。

全ドライバーとTONEエンジェルス。一丸になって戦っています。これからも応援、よろしくお願いいたします。
全ドライバーとTONEエンジェルス。一丸になって戦っています。これからも応援、よろしくお願いいたします。    佐々木純也

821号車は「今は降っているけれど、ここさえ我慢すれば止んで乾いていく」と読んで、スリックタイヤを選択。

一方、クラスポールポジション(予選で一番速く、先頭からスタートする権利)を獲得していた私たち822号車は、スタートから全開で逃げ切りたいという気持ちもあって、レインタイヤを選びました。

結果から申し上げると、どちらの選択も正しかったのです。

822号車は2番手、3番手のチームと序盤からしっかり戦い、とても良いペースでレースを運ぶことができました。後続の2台もポールのタイヤ選択を見てか、両方ともレインタイヤでした。そこから徐々に雨が上がり、いよいよ821号車のスリックタイヤがタイムを出せる路面になってきたのです。

サーキットの魔物

ところが、ここで出されたのがFCY(フルコースイエロー)でした。

コース上でトラブルがあった際、セーフティカーを入れるほどではない場合に出されるもので、全車が追い越し禁止となり、コース全域で時速50キロまで速度を落として走らなければなりません。

スリックタイヤの表面がようやく温まり、路面も落ち着いてこれからというところで、タイヤはすっかり冷えてしまいました。絶好のタイミングを逃してしまう。サーキットには魔物がいる、としか言いようのない展開でした。

今回は2台の選択がきれいに分かれたことで、タイヤの違いがとても分かりやすく見えたレースだったと思います。天候を読むという作業は、一台のクルマの中だけで完結しません。チームのみんなで考え、スタートドライバーが背負って決める。その重さと面白さを、みなさんにも少し感じていただけたら嬉しいです。

第6戦スーパー耐久レースin岡山 AndLegal Racingリザルト

822号車
順位:5位/タイム:3:01’14.594/ラップ:86
クラス:ST-5F/カーナンバー:822/チーム:AndLegal Racing/マシン:アンドリーガル ドリフトスピリッツ Moty’s FIT/ドライバー:川福健太、塚本ナナミ、惠木勇哉、内田朋宏
※クラスポールポジションからスタート

821号車
順位:4位/タイム:3:01’14.264/ラップ:86
クラス:ST-5F/カーナンバー:821/チーム:AndLegal Racing/マシン:アンドリーガル Moty’s FIT/ドライバー:佐藤勝博/上田浩司/奈良敬志/川名賢

勇気あるタイヤ選択を行った821号車。
勇気あるタイヤ選択を行った821号車。    佐々木純也

記事に関わった人々

  • 執筆

    塚本ナナミ

    Nanami Tsukamoto

    ブラジル・サンパウロ生まれ、山梨育ち。やまなし大使を務めるレーシングドライバー。GAZOO 86/BRZレースで経験を積み、2015年にはポルシェカレラカップジャパンで年間チームチャンピオンを獲得した。海外ではニュルブルクリンクVLN耐久レースに加え、アメリカ、タイ、インドネシアでのドリフト競技にも参戦。競技の最前線で培った知見をもとに、自動車メーカーと連携した女性向けの脱ペーパードライバー講習や企業向けドライビング講習を行うほか、ゲームやアニメを活用し、運転する楽しさと交通安全の大切さを伝える活動にも取り組んでいる。

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