グッディング・ザ・ペブルビーチ・オークション

●2015.08.15-16　ペブルビーチ／CA／U.S.A. モントレー・ウイークの最後を締め括ったのは、地元オークショナーのグッディングが行うペブルビート・オークションだった。オークションは2日間にわたり行われ、希少な129台が用意された。  
カリフォルニアのサンタモニカに本拠を構えるグッディング・オークションは、開催回数こそ少ないがマニアックで良質なコレクターズカーを用意することで知られている。ちなみに今年は1月のスコッデイル、3月のアメリアアイランド、そして８月のペブルビーチの3回のみの開催となる。 今回のメインテーマはワークス・レーシング・ポルシェと、プライベート・コレクションの放出車だ。ポルシェのワークスマシンはRS60から904カレラGTS、906、グループCカーの956が用意され、このほかプライベート・コレクションからは1973年型911カレラRSライトウェイト、1973年型911カレラ2.8RSR、1974年型911カレラ3.0RSR、996GT3Rに加え、フェラーリでは250GTピニンファリーナ・クーペ、333SP、マセラティMC12 GT1、AMG CLK DTMという豪華な顔ぶれが並んだ。 景気の不透明さもあり、先に行われたオークションでは弱気の落札額が見られたが、ここではそんな気配は微塵もなかった。用意された129台中1000万ドル(12億4500万円)を越えて落札されたのは3台もあり、100ドル超えは23台と、超高額落札車が全体の2割を占めた。 2日間のオークションで最高落札額をマークしたのは1961年型フェラーリ 250GT SWB カリフォルニア・スパイダーの20億9534万円で、世界新記録の額となる。これに続いたのは当時ガンディーニが在籍していたベルトーネのスタディモデルである1962年型フェラーリ 250GT SWB スペチアーレが僅差の20億5425万円で続いた。3番値はグループCマシンを代表するポルシェ956の12億5994万円だった。 今年のモントレーの他のオークションでもそうだが、これまで以上にシビアな価値判断がここでも見られた。そのため実質相場より高めに最低落札額が設定されたものは流札することが多くなってきた。 メインフューチャーとなったポルシェは、RS60が6億7230万円、904カレラGTSは2億8013万円の最低落札額に届かず流れてしまったが、906Eは2億543万円、911 カレラ2.7 RS ライトウェイトは1億1984万円、911 カレラ3.0 RSRが1億6092万円を記録した。 モントレー全体を見ると、これまで急激に値を上げていたポルシェ911 カレラRSの流れが変わっている。モントレーでは2極化が始まり、ライトウェイトは1億円超えの値を付けるのに対し、コンフォートはその半分強の順当と言える落札額となっていた。 細かく見て行くと、いくつか興味深い事実もある。発売間もないフォード・シェルビー GT350が定価の十数倍で落札されているが、これはブッシュ元大統領が行う、9.11米同時多発テロ以降の退役兵とその家族の社会復帰を支援する取り組みの一環としてオークションに出品されたもの。量産試作車であることに加えダッシュボードにブッシュ元大統領のサインが入るのが特徴で、最終的に驚きの8715万円で落札された。 このほかフェラーリ550バルケッタが9039万円と言う高額な落札額を記録しているが、走行151マイルと納車時のまま保管されていた新車のため、ここまで値を上げたようだ。またディーノ206GTも確実に評価されてきたようで1億円目前まで上がって来ている。フェラーリ 308GTB ヴェトロレジーナもアメリカ仕様ながら新記録となる3082万円で落札された。 新記録ではアストン・マーティン DB5 コンバーチブル(1億9173万円)、デ・トマゾ・マングスタ(4041万円)、フェラーリ 275GTB/4(4億8275万円)、マセラティ A6G/2000 クーペ・アレマノ(1億3011万円)が注目される。 一方で、コレクション放出のマセラティ MC12 GT1は、2億4900万円の最低落札額に届かず流れている。このほかにも最低落札額が高額に設定されたものは新旧モデル問わず流れる傾向にあった。 今年のモントレー・オークション全体に言えることだが、そのクルマのコンディションからヒストリーまでを含むトータルな価値と、入札額の判断基準が、より厳しくなってきたと言える。