ジープ・レネゲード

公開 : 2015.12.25 23:50  更新 : 2017.05.29 18:34

■パフォーマンス

“ブレーキとクラッチ・ペダルはかなり小さく見えるが、困るほどではない” ― マット・ソーンダース (ロードテスト編集補佐)

2.0ℓディーゼル・エンジンは、残念なことにアイドリング時でも農作業の機械みたいな音をたてる。モダンなディーゼルだと45dB程度の室内ノイズにおさまっているが、レネゲードは54dB。110km/hを超えた程度の巡航時だと70dBまで跳ねあがる。

‘パッセンジャーカーとして、適したマナー’ だと表現するのは躊躇われるレベルであり、右ハンドルの個体は、左ハンドリングに比べて問題視すべく点が多いこともテストをとおして明らかになった。

低〜中回転域ではパンチー、中回転域では固有のキャラクターを披露してくれ、全般的にはかなり力づよい。

0-100km/hタイムは11秒を切る。多くのライバルはレネゲードより軽いが、パワーが控えめであることが理由で、‘徒競走’ では負けることは少ないだろう。

4速時、48km/h〜113km/hの加速でもライバルとは互角。さらに、レネゲードの方がフレキシブルだと感じる。レスポンスも良好。4000rpmを超えると精細を欠くものの、それでも軽やかに回る方だ。

アクセル・ペダルを踏んだ量に対する加速はリニア。少しずつ踏力を変えていっても従順にマネージできる。クラッチ・ペダルとギアレバーの感覚はゴムっぽくグニャグニャしているが、攻めた運転でもポジティブである。

ブレーキ・ペダルは上品。踏みはじめからなめらかに制動がはじまり、だらしない踏み方をしてもある程度おだやかにクルマを停められる。だからオフロードのセンシティブな運転でも緊張感がすくない。絶対的な制動力はさして優れていないが、不足に感じることはない。ミドル・レンジのグレードに適用される17インチ・ホイールは、サイズの割に、衝撃の吸収のしかたも上手だ。

■乗り心地とハンドリング

“安全かつ快適に感じられるようなシャシーに仕上がっている。それでいて「ちょっくらオフロードで遊ぼうか」という気持ちにしてくれる” ― ニック・カケット

フィアットクライスラーが編みだしたハンドリングと乗りごこちは、このクラスではまずまず妥当なレベルに仕上がっている。特に快適でも、特に曲がりたがるわけではない。かといって凡庸というわけではない。単に車高をあげただけのハッチバックに比べると、かなりいい。

反応はすばやい。グリップもまずまず。安定感があり、なおかつ簡単に運転できる。そしてジープらしい味わいもある。合格点をさらりとクリアした印象だ。ややネットリとし、ぶらぶらと揺れ、アシスト過多な、プント・エヴォや500Lとは、まったく異なった結果になっているのがおもしろい。

アシはやや硬めなため、時にポンと跳ねたり、ブルブルと震えたりすることもあるものの、ヘビーデューティーなピックアップほどの無骨さとは無縁。これまでの項で述べられているとおりプロパーなオフローダーとはほど遠いのは事実だが、思いどおりのボディの動きを見るかぎり、大した問題ではないとさえ思う。

効率のよい4WDシステムと、トルク・ベクトリング・システムのおかげでパワーのシャフリングはうまい。これがコーナリング時にも活きてくるのだ。オフロードでは、持ち前のトラクションを存分に発揮。必要に応じて、必要な車輪に制動がかかるため、不用意な空転も少ない。

ただし、よりマッドな道へは行く気になれない(というか勇気がない)。ほとんどのオーナーは望まないと思うが、悪路はほかのオフローダーに任せるのが賢明。

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