気温の変化や空気の匂い、街に飛び交う様々な声を感じ取ることができるオープンカーでのドライブは、どちらかといえばオートバイや自転車に近い。冬は寒いし、夏の陽射しは暑くて熱い。けれど、オープンカーだからこそ感じられる匂いや空気、そしてロードスターだからこそ楽しめるドライビングを体験してしまったら、むしろ美しい四季のある日本ならではの味わいと思えてしまう。

気付けば夕刻。関東より1時間ほど日没が遅い鹿児島でも、もうすっかり太陽は姿を隠し始めている。試乗前はあれほど不安だったのに、終了時間が迫るにつれ、もっと乗っていたいなと思う自分がいる。今回の試乗では、いかにもスポーツカーが得意とするようなワインディングを走ることはできなかった。しかしそれでも、これほどまでにお別れの時間を寂しく感じさせてくれるロードスターというクルマは、本当に魅力的なモデルだ。

’89年にスタートしたロードスターの歴史は、これまでNA、NB、NCと三世代のモデルが存在してきた。そのたびに感じ、言われ続けてきた言葉だけれど、やっぱりそう思ってしまうのだから仕方がない。

ロードスターのある時代に生まれて、本当によかった。

マツダ・ロードスターS

価格	2,494,800円
全長×全幅×全高	3915×1735×1235mm
ホイールベース	2310mm
乾燥重量	990kg
エンジン	直列4気筒1496cc
最高出力	131ps/7000rpm
最大トルク	15.3kg-m/4800rpm
ギアボックス	6速マニュアル
サスペンション	ダブル・ウィッシュボーン / マルチリンク
ブレーキ	ベンチレーテッド・ディスク / ディスクｋ
ホイール+タイヤ	6.5Jx16 + 195/50R16
燃費(JC08モード)	17.2km/ℓ