究極のマツダ・ロードスター限定車『12R』を通じてわかった、原盤の尊さ(前編) 世界で存在感を示す日本の至宝【渡辺敏史が吟味】

公開 : 2026.07.06 11:45

200台限定で発売され、既に完売した『マツダ・スピリット・レーシング・ロードスター12R』を渡辺敏史が取材します。究極とも言える2Lモデルを通じてわかった、原盤=1.5Lモデルの尊さとは。その前編です。

世界で存在感を示し続ける日本の至宝

それは世界のスポーツカーカテゴリーにおいて、確たる存在感を示し続ける日本の至宝。そう言い切ることに誰も異論は挟まないだろう『マツダロードスター』は、6月下旬にマイナーチェンジが施された。

主たる目的は車外騒音やシートにまつわる安全基準といった、新たな規制への適合だ。デビューから12年目と、気づけば干支がひと回りするほど販売が続くND型ゆえ、対処的な側面が増えていくことも致し方ない。特にこの3〜4年はその色が強くなっている。

究極の1台ともいえる、マツダ・スピリット・レーシング・ロードスター12Rを取材。
究極の1台ともいえる、マツダ・スピリット・レーシング・ロードスター12Rを取材。    山本佳吾

でもマツダのエンジニアたちはそういう対応のリソースを逆手にとってか、新技術の搭載やユーザビリティの改善などの機会に充ててきた。

特に2023年の商品改良では電子プラットフォームのセキュリティ対応を契機に、ADASの充実やパワステの制御変更、ECUのマージンを出力側に振ったエンジンフィーリングの向上など、セキュリティとは全く関係ないところにも手を施して商品性を向上。日本だけでも毎月1000台に届かんとする台数を売り上げる鮮度と魅力を維持している。

加えてロードスターがクルマ好きにとって常に気になる存在として注目される契機となっているのが、都度設定される特別仕様車だ。特に2022年に発売された『990S』は、一時期販売台数の過半に迫り、総台数の押し上げに貢献した。

990Sとは対極的な魅力を表現

今回のマイナーチェンジでも、990Sのような立ち位置の特別仕様車が設定されている。ピュアスポーツの頭文字をとった『PS』は、最も売れ筋となるSパッケージをベースに、コイルレートを引き締め減衰レートを緩めた独自の足まわりセッティングを採用。

こちらは同じバネ下構成となる990Sとは対極的に、上屋の動きをしっかり抑えて横方向の動きを最大化したスポーツセッティングの王道を体現したという。それをもって斎藤茂樹主査は、990Sとは対極的なロードスターの魅力を表現できたとしている。

先日のマイナーチェンジで発表された新グレード、『PS』。
先日のマイナーチェンジで発表された新グレード、『PS』。    マツダ

多少前置きが長くなったが、そのPSの発想の原点となっているのが初の『マツダ・スピリット・レーシング』(以後MSR)銘柄として開発されたロードスターだ。端緒はスーパー耐久参戦車両のシャシー開発過程で培われたノウハウが、標準車系の商品価値向上にも充分反映できるという開発陣の手応えにあったという。

ちなみにPSと同じサスセッティングはレギュラーグレードの『RS』(ソフトトップ)にも適用されており、同じ軽量ホイールと対向ブレーキをオプションで装着すればRSも中身的にはPSと同じ仕様となるわけだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渡辺敏史

    Toshifumi Watanabe

    1967年生まれ。企画室ネコにて二輪・四輪誌の編集に携わった後、自動車ライターとしてフリーに。車歴の90%以上は中古車で、今までに購入した新車はJA11型スズキ・ジムニー(フルメタルドア)、NHW10型トヨタ・プリウス(人生唯一のミズテン買い)、FD3S型マツダRX-7の3台。現在はそのRX−7と中古の996型ポルシェ911を愛用中。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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