アウディS4

公開 : 2016.06.09 23:40  更新 : 2017.05.29 18:14

標準のスポーツ・シートはがっしりと体を包みこむし、フラット・ボトム・ステアリングも手にピタリと吸いついてくれる。アウディ製のバーチャル・コックピットは3つのテーマで表示が切り替えられるし、MMIインフォテインメントは革命といっていいくらいに使いやすい。総じて現代的かつ居心地がいい空間だと感じる。

ターボ加給が施されるV6ユニットは、ロー・エンドの柔軟性でまずわれわれを驚かせる。パワー・デリバリーのなめらかさにも満足できる。先代よりも1530rpm低い回転域で6.2kg-mのトルクが湧くのもいい。‘ダイレクト’ という言葉がよく似合うターボ・エンジンだ。

スロットルの開閉に対する反応も素早く、市街地の隙間を見つけては埋めるような走行や、モーターウェイにおける追い越しにも何ら不満を感じない。どのレヴ・レンジでもS4のまじめっぷりはよくわかる。ただ、あえて不満を挙げるならば、エグゾースト・ノートが、やる気にさせてくれない。6500rpmでカット・アウトするまでに、さまざまな音色を聴かせてくれるが、ライバルたちが自慢とするような、耳をくすぐるような魅力とは無縁なのだ。

一方、8速のトルコンATは、エンジンが求める高い基準を超えているように感じる。変速はなめらかで、大部分において素早い。デュアル・クラッチ・ユニットからトルコンに ‘逆戻り’ するという英断も正当性をもつ。強化されたトルクにも対応できるから一石二鳥だ。

0-100km/hタイム=4.7秒という数値は、先代より0.3秒短縮されていることを意味する。また、メルセデス-AMG C43より0.2秒、BMW 340iより0.4秒速い。インギアの加速はもちろんのこと、高速域のスタビリティにも驚く。アウトバーンの追い越しレーンをひた走るのも疲れない。249km/hというリミットでの航続走行だって、何ら問題はないだろう。

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