i3の回生ブレーキの利きは、これまたほかの倍ほど強く、慣れが必要だ。フット・ブレーキは、その補佐程度に操作することになる。つまり、エンジン・ブレーキだけでスピードを制御し、ブレーキ・ペダルを踏むのは完全停止時か緊急制動時くらいだという、少なくとも市販車ではお目にかかったことのない運転感覚である。

ほかにもi3には独特な部分が多いが、一旦慣れてしまえば、ほかのEVに戻れなくなること請け合いだ。

ここまで比較試乗をして分かったのは、新顔のアイオニックはリーフと同等の、いわば並のEV。対してe-ゴルフとi3はそれより高い水準、いうなれば上もしくは特上レベルで、勝者はこの2台のどちらかになるだろうということだ。

VWは素晴らしいEVを作ったが、それは極めて馴染みやすく、快適で、実に普通のクルマに仕立てられている。一方、BMWは、これまた出来のいいEVだが、なにもかもが普通と異なる流儀のクルマを生みだした。最大の違いはそこにある。

e-ゴルフは、都市部での退屈な日常遣いにおける苦痛を取り除いてくれるクルマで、これこそ出来のよいEVの典型だとわれわれは思い始めている。

しかしi3は、実用EVハッチバックの概念を一変させる存在だ。想像の上、もしくは先を行くクルマで、速さとエネルギー効率、実用目的と走りの楽しさを、ともに満足させてくれる。

結論づけるなら、i3は単なるEVではない。都市生活に最適なサイズの自動車であると同時に、電気モーターは実用一辺倒ならベストだという、この100年ほどの定説への反証でもある。

走りを楽しめて、愛着を持てるクルマだ。現状では受け入れざるを得ないEVの技術的限界や避けがたい妥協も示すが、ほかにこれほど愛情を注げるEVはまず存在しない。

1位：BMW i3 94Ah

EVの概念を変えてくれるほど素晴らしい。現在市販されている中でも最高水準のシティコミューターであり、しかも走りが楽しい。

価格	£27,830(403万円)
全長×全幅×全高	3999×1775×1578mm
最高速度	150km/h
0-100km/h加速	7.3秒
航続距離(市街地)	282km
CO2排出量	0g/km
乾燥重量	1320kg
バッテリー容量	33kWh
充電時間	12時間(3ピン)／3.5時間(32A ウォールボックス)
電力消費率	5.3m/kWh
最高出力	170ps
出力重量比	129ps/トン
最大トルク	25.4kg-m

 

2位：フォルクスワーゲンe-ゴルフ

先進技術とVWらしい洗練性が融合している。この手のクルマとして重要な部分はどこも完成度が高いが、月々の維持費は高くつく。

価格	£27,830(403万円)
全長×全幅×全高	4265×1800×1480mm
最高速度	138km/h
0-100km/h加速	10.4秒
航続距離(市街地)	164km
CO2排出量	0g/km
乾燥重量	1585kg
バッテリー容量	24.2kWh
充電時間	12時間(3ピン)／4.5時間(32A ウォールボックス)
電力消費率	4.2m/kWh
最高出力	115ps
出力重量比	72ps/トン
最大トルク	27.5kg-m

 

3位：ヒュンダイ・アイオニック・エレクトリック・プレミアムSE

ヒュンダイ初のピュアEVは価格や実用性、航続距離など有望な要素も多いが、走りの面では改善が必要。

価格	£26,295(381万円)
全長×全幅×全高	4470×1820×1450mm
最高速度	166km/h
0-100km/h加速	9.9秒
航続距離(市街地)	257km
CO2排出量	0g/km
乾燥重量	1475kg
バッテリー容量	28kWh
充電時間	12時間(3ピン)／4 .5時間(32A ウォールボックス)
電力消費率	4.7m/kWh
最高出力	120ps
出力重量比	81ps/トン
最大トルク	30.1kg-m

 

4位：日産リーフ30kWhテクナ

先駆者ながら、いまなお信頼性や使い勝手は高い。だがライバルと比較すれば、後発の進歩具合を浮き彫りにする引き立て役となってしまう。

価格	£27,380(397万円)
全長×全幅×全高	4445×1770×1550mm
最高速度	143km/h
0-100km/h加速	11.5秒
航続距離(市街地)	257km
CO2排出量	0g/km
乾燥重量	1535kg
バッテリー容量	30kWh
充電時間	12時間(3ピン)／5.5時間(32A ウォールボックス)
電力消費率	3.8m/kWh
最高出力	110ps
出力重量比	71ps/トン
最大トルク	25.9kg-m