5代目プリウスと呼びたい内容 しかし通常のプリウスとの価格差は燃料代では埋められない

公開 : 2017.03.03 06:06  更新 : 2021.01.28 18:21

もっとも、EVらしさだけを取り出すならノートe-パワーのほうが上手だろう。初代からプリウスは運転感覚をガソリン車に近づけるため電動モーターのトルク立ち上がり特性を穏やかにしている。代を重ねるごとに少しずつ「電動的」にし、PHVではさらにその傾向を強めているが、ガソリン車から違和感なく乗り換えられるドライバビリティが基本である。

蓄電量が指定値を下回れば自動的にHVモードに切り替わる。HVモードの走行特性はプリウスと大差ない。中高速の緩加速でもエンジン稼働走行となり、余力感もEVモード時より低下する。

意外だったのはEV/HV/チャージの3モードの加速特性。ペダルストロークに対する駆動トルク特性は共通だが、運転感覚では切れ味と余力がEV→HV→チャージ(充電走行)モードと低下するように思えた。EVモードでは上級HV、HVモードではプリウス、チャージ・モードではアクアのよう、と言い換えてもいい。要はエンジンの稼働頻度と回転数の影響だが、気持ちよく走るなら小まめに外部充電してレンジ・エクステンダーの如く使うのもいい。EVユーザーの迷惑にならない程度にだが…

エンジン周辺の静かさは余力感を高めてくれるが、だからといって静粛性が高いかというと、それほどでもない。音圧レベルではともかく、ロード・ノイズがかなり目立つ。透過感の強い騒音は走りの車格感を損ねる。軽いエンジン音を立てる走行時間が多いHVモードがバランスのいい騒音でもあり、EVへの進化度を高めるプリウスPHVの課題のひとつと言えよう。

フットワーク全般についてはプリウスよりもしなやかさを増したように思えた。TNGAのフレームワークについてはコスパ向上と軽量高剛性が主眼であり、その辺りは接地感のいいハンドリングに感じられるが、しなやかさについては車重増とそれに伴うサスの再チューニングによるものと思われる。

プリウスはオーバーシュート気味の挙動や揺れ返し等の細かな揺れの抑制が今ひとつ。ごわごわした硬さと言うべきか、しっとりとした収束感や据わりのよさがあまり感じられないのだが、プリウスPHVでは多少改善されている。肌触りがいいとも言い難いのだが、乗り味がちょっと大人っぽくなっていたのも見所だ。

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