トヨタ・プリウス UK上陸25周年(2) 英国編集部が絶賛の理由とは? 初代と現行を乗り比べ

公開 : 2025.09.05 19:10

地球上で最も支持を集めたハイブリッド、プリウス 先端技術を意識させる車内 運転しやすく快適 秀でた信頼性と燃費 再評価されるべき偉業 英国上陸25年を記念し、UK編集部が初代と比較

運転しやすく快適 秀でた信頼性と燃費

流石に初代トヨタプリウスのシャシーは、25年という時の流れを隠さない。ステアリングの反応は鈍く、細いタイヤは満足いくグリップを生まない。サスペンションは緩く、姿勢制御はルーズ。この頃の、トヨタへ共通した記憶が蘇る。

それでも衝撃吸収性は充分高く、路面からの入力をふんわり受け流す。グレートブリテン島の、傷んだアスファルトとの相性は悪くない。

トヨタ・プリウス・プラグイン(5代目/英国仕様)
トヨタ・プリウス・プラグイン(5代目/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

プリウスが成功を掴んだ理由は明白。複雑なハイブリッド・パワートレインを積んでいても、運転しやすく快適。信頼性に間違いはなく、燃費は驚くほど良かった。2代目、3代目と進化を続けたことも、当然といえた。

2016年の4代目では、トヨタの新プラットフォーム、TNGAを採用。運転の楽しさも高められた。現行の5代目は、グレートブリテン島での販売が当初見送られていたが、市場の反応を踏まえ、プラグイン・ハイブリッドの上陸が始まっている。

実に美しい最新世代 許容力の高いシャシー

最新世代は、実に美しい。カメラマンは、鮮やかなボディカラーと相まって、レモンのようだと表現した。インテリアも未来的。ディスク状のホイールカバーを履かせれば、映画「ブレードランナー2049」に登場したとしても、不釣り合いではないかも。

出力と効率の向上が目指され、駆動用バッテリーは13.6kWhと4代目から倍増。ボディは衝突安全性を高めるべく、強度が増している。しかし、車重は1545kgと重くはない。

トヨタ・プリウス・プラグイン(5代目/英国仕様)
トヨタ・プリウス・プラグイン(5代目/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

システム総合での最高出力は、223ps。右足を蹴飛ばせば、ホットハッチのように速度が上昇する。エンジンと2基のモーターが協調するパワーデリバリーは、とても自然。従来のような、ダイレクトさに欠けるラバーバンド感はほぼない。

ブレーキペダルの踏み心地はソリッドで、効きは漸進的。シャシーの許容力は高く、連続するカーブを素早く正確に駆け巡れる。19インチの大径タイヤを履いていても、乗り心地は素晴らしい。アスファルトの不整へ、手を焼くことはないようだ。

高く再評価されるべき歴史へ残る偉業

普段の通勤ルートを走らせるだけで、運転の喜びを感じられる。金曜日の帰路なら、少し遠回りをしてみようと思うかも。ハイブリッド・システムの特性を理解すれば、本来の能力を発揮させるという、プリウスだけの楽しみ方もできる。

前衛的なスタイリングに、革新的なテクノロジー。好むと好まざるとに関わらず、周囲に流されない聡明な姿勢は、ハイドロニューマチックにこだわったシトロエンや航空機の影響を隠さなかったサーブに通じる、とも筆者は思う。

トヨタ・プリウス・プラグイン(5代目/英国仕様)
トヨタ・プリウス・プラグイン(5代目/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

存在意義は明白。25年後のプリウスがどんな姿になっているのか、誰も知る余地はないが、歴史へ残る偉業なことに疑う余地はないだろう。

ハイブリッドの先駆者として、最も影響力の大きい1台として、プリウスはもっと高く再評価されて良い。このトヨタが身近にある現在を、僕たちはもっと喜んで良い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

トヨタ・プリウス UK上陸25周年の前後関係

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