BMW 120d xDrive 5ドア

公開 : 2012.12.15 17:07　　更新 : 2017.05.29 18:00

■どんなクルマ？

120d xDriveは、主にドイツ、オーストリア、そしてスイスからの要望に応えるべくして出されたモデルだ。これらの地域では4WDのxDriveの売上はBMW全体の1/3にあたるという。また、ドイツ、アメリカ、中国の3ヶ国では、アウディ・クワトロよりもxDriveの方が多く販売されている。

この120d xDriveは、多くのアウディ・クワトロがトルセン・デフをセンターに使うのに対し、アウディA3やTTと同じマルチ・ブレート・クラッチを使う。しかし、そのシステムは無数のDSCセンダーによって、タイヤのスリップを感知すると0.1秒以内に反応するという。トルクはデフォルトではフロントが40%、リアが60%という割合だ。

BMWのシャシー・エンジニアは、リデザインされたスプリングとダンパーをこの120d xDriveに与え、スポーティなセッティングとしている。

■どんな感じ？

われわれのテストコースは、オーストリアのアルプスの雪道だっだ。その雪道において、xDriveはDSCによって安全な走行が味わえる。もし、ダイナミック・トラクション・コントロールを、若干のスリップを許すセッティングにすれば、アンダーステアは抑えられ、リア・ホイール・ドライブのようなパワー・ドライブが可能だ。もちろん、DSCを完全にオフにすれば、雪道では豪快な完全なオーバーステアを披露することとなる。

ボディ・コントロールはしっかりしているが、凸凹の多い路面では、残念ながらその乗り心地は酷い。新しいサスペンション・セッティングと、センシブルなホイール、タイヤがセットされているが、そわそわとした1代前の1シリーズのようなドライブ・フィーリングであった。

エンジンは、パワフルさと経済さを兼ね備えている。そしてそのパワーは、xDriveのシステムによって完璧に分配されている。

■「買い」か？

残念ならがxDriveはリア・ホイール・ドライブの1シリーズの本質的な良さを失ってしまっているようだ。しかし、安全さが増していることは間違いない。

ドイツのユーザーであれば、この1シリーズのxDriveに余分な2,000ポンド(27万円)を支払うだろう。しかし、われわれ英国のユーザーは、更に1,535ポンド(20万円)を加えて、320i xDriveを選んだほうが賢明だ。また、アウディA3クワトロも僅かその1,600ポンド(22万円)高という価格がつけられているのも、充分に検討に値するものだ。

(リチャード・ウェーバー)