『フェラーリ849テスタロッサ』はその名に相応しい実力か(前編) エンジニアリングは究極的かつストイック【スーパーカー超王が斬る】

公開 : 2026.10.26 11:45

昨年9月にデビューした『フェラーリ849テスタロッサ』を、スーパーカー超王こと山崎元裕が取材します。SF90ストラダーレのビッグマイチェン版といえるモデルですが、テスタロッサを名乗るだけの説得力はあるのでしょうか?

SF90ストラダーレの正常進化型

フェラーリが、あの『テスタロッサ』のネーミングを現代に復活させたスーパースポーツを発表。そのようなイタリア・ミラノ発の衝撃的なニュースが一瞬で世界中を駆け巡ったのは、2025年9月のことだった。

リアミドシップに搭載されるエンジンが、シリンダーあたり約490ccの排気量を設定した3990ccのV型8気筒ツインターボであることから『849テスタロッサ』と呼ばれるこのモデルは、2019年にフェラーリ初のプラグインハイブリッドロードカーとしてデビューした、『SF90ストラダーレ』の正常進化型とも言えるものだ。

2025年9月にデビューした、『フェラーリ849テスタロッサ』。
2025年9月にデビューした、『フェラーリ849テスタロッサ』。    平井大介

参考までに2019年はSF=スクーデリア・フェラーリ創設90周年にあたる年であり、2025年はテスタロッサの始祖ともいえる『500TR』が誕生してから70周年という記念すべき年でもあった。本来ならば849テスタロッサに至るまでの、いわゆるTR(テスタロッサ)ファミリーの華やかなヒストリーにも触れておきたいが、ここではその称号がフェラーリにとって極めて特別なものと考えられている、とだけ記しておこう。

それを証明するのはもちろん、849テスタロッサで採用された究極的かつストイックなまでの拘りを見せるエンジニアリングの数々だ。

サーキット走行にフォーカスした『アセット・フィオラーノ』

849テスタロッサにはクーペとスパイダーの両ボディが設定されているが、今回試乗したのはひと足先に日本の地を踏むことになった前者の方。しかもこのモデルは『アセット・フィオラーノ』、すなわちよりサーキット走行にフォーカスした1台だ。

その特徴は、斬新なデザインのフロントスポイラーや20インチ径のカーボン製ホイール、あるいは標準モデルのエクステリアで大きな特徴としていた、かつての512Sや512Mの姿をもイメージさせるツインテールの可動式リアウイングが、あのFXXにも採用されたコンパクトな固定式ボックス型ウイングに姿を変えていることなどである。

取材車はサーキット走行にフォーカスした仕様、『アセット・フィオラーノ』。
取材車はサーキット走行にフォーカスした仕様、『アセット・フィオラーノ』。    平井大介

フェラーリによれば、アセット・フィオラーノを選択すると車重をさらに30kgほど軽量化できるという。サスペンションは固定レートのマルチマティック製ダンパーに、35%も軽量化されたスプリングを組み合わせるのが基本となるが、ノーズリフト機能を備えたマグネティック(磁性流体)ダンパーを標準モデルからそのまま受け継ぐことも可能になった。試乗車はまさにこの仕様で、カスタマーには最も気になる組み合わせと言えそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王(超王)」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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