SF90から圧倒的進化を感じた瞬間とは? 『フェラーリ849テスタロッサ』はその名に相応しい実力か(後編)【スーパーカー超王が斬る】

公開 : 2026.10.26 11:50

昨年9月にデビューした『フェラーリ849テスタロッサ』を、スーパーカー超王こと山崎元裕が取材します。SF90ストラダーレのビッグマイチェン版といえるモデルですが、テスタロッサを名乗るだけの説得力はあるのでしょうか?

フロントモーターのみを用いたゼロエミッション走行も可能

フェラーリ849テスタロッサのパワートレインは、フェラーリSF90ストラダーレから基本的な構成を受け継いでいる。搭載されるV型8気筒ツインターボエンジンは、エンジンブロックやターボチャージャーが刷新されたことで、新たに50psのエクストラを得た830psの最高出力を掲げるに至った。

エレクトロニックモーターはフロントアクスルに2基が搭載され、それによって『RAC-E』と呼称されるエレクトロニックコーナリングセットアップレギュレーターを構成。さらにV8エンジンと8速DCTとの間にはもうひとつのエレクトロニックモーターが配置されるが、それに与えられる名がF1マシンに由来する『MGU-K』(モーター・ジェネレーター・ユニット・キネティック)とされているのはいかにもフェラーリらしいところ。

取材車は『フェラーリ849テスタロッサ』のアセット・フィオラーノ仕様。
取材車は『フェラーリ849テスタロッサ』のアセット・フィオラーノ仕様。    平井大介

ちなみにプラグインハイブリッドとなる849テスタロッサはフロントのエレクトロニックモーターのみを用いたゼロエミッション走行も可能で、その最高速は135km/h、最大航続距離は25kmとされている。興味深いのはリチウムイオンバッテリーの搭載量がSF90ストラダーレより小さくなっているのに対して、最大航続距離には変化がなかったこと。

これはバッテリーのエネルギー密度を確実に向上させることに、フェラーリが成功したことを意味している。エレクロニックモーターの最高出力はトータルで220ps。つまり849テスタロッサは、1050psというフルパワーを路面に炸裂させることができるスーパースポーツというわけだ。

マネッティーノとeマネッティーノ

849テスタロッサのドライブを効率的かつ最大限に楽しむためには、このパワートレーンの持つ特性と、マネッティーノによるドライブモードの選択、そしてこちらはステアリングホイールのボトム部に静電スイッチとして残ったエネルギーフローを選択するためのeマネッティーノが、どのようなセッティングをもたらすのかを正確に理解する必要がある。

eマネッティーノには『eD』、『H』、『パフォーマンス』、『クオリファイング』の各モードがあり、それぞれゼロエミッション走行、効率を重視したハイブリッド走行、エンジンのパワーをフルに使いバッテリーを温存する走行、エンジンからもエレクトロニックモーターからもフルパワーを引き出す走行を楽しむことができる。

テスタロッサの名のとおり、エンジンのヘッドカバーは赤となる。
テスタロッサの名のとおり、エンジンのヘッドカバーは赤となる。    平井大介

また、Hからは『リチャージ』モードへの移行も可能で、これはその名のとおりバッテリーの充電を最優先した制御が行われる仕組みとなっている。一方のマネッティーノには『ウエット』、『スポーツ』、『レース』、『CTオフ』、『ESCオフ』の各ポジションがあるが、そのスイッチを奥方向に長押しすることで、マグネティックダンパーを備える試乗車は、どのモードからでも最もコンフォートな乗り心地をセットすることが可能になる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王(超王)」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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