コスワースの血統 まさに生え抜きのレーシングカー、シエラRS500コスワース

公開 : 2017.04.08 00:00  更新 : 2017.05.29 18:53

6000rpmまで上げてクラッチ・ミート

RS500は、クラブとアビー・コーナーの間にあるピット・レーンで待っていた。60年以上左曲がりだったアビー・コーナーが今では右コーナーになっている。コース・レイアウトを頭に叩きこんでいると、ふとそのことが気になった。

グループA仕様のディテール。有名なBrooklynのロゴがボディ・サイドに輝く。


クラッチ・トラブルにより、1速はエンジン停止時でなければ選べない。そのため、クラッチを踏んだ状態でレバーを1速に入れて、ターボチャージャード・エンジンをスタートさせた。遮音対策などまったく考えていないので、クルマのなかに凄まじい轟音が響く。エンストを避けるために、回転数は十分上げるように指示が出された。5000rpm以下だと少し扱いにくいようなので、クラッチを繋ぐ前に回転を6000rpmまで上げる。RS500は問題なく発進し、エンストしてピット・レーンを塞がないという、最初の目標は達成された。

そぼ降る雨のためトラックは荒れ模様だったが、506psのツーリングカーに馴れるには理想的なコンディションだ。申し訳なさそうにシフト・レバーをゲートに移動させ、2速に変速しようとしたが、うまくいかない。シフトは思い切りよく操作しなければ駄目なようだが、コツを掴むと、変速できるようになる。

想像よりもソフトな乗り心地

乗り心地は、予想していたよりもややソフトだ。たとえ低速でもコーナーを曲がるとロールするのが分かる。しかし、乗り味はダイレクトであり、ステアリングの重さも絶妙だ。インテリアはむき出しだが、ワイパーのスイッチがリンフットのロードカーとまったく同じ位置にあるのを見て笑みがこぼれた。レーシングカーのステアリング・コラムにワイパー用のレバーが付いているとは思わなかったので、センターコンソール上を探していたのだ。


悪天候も気になるが、高価にちがいないギアボックスも心配だから、シエラの能力を試す機会は限られていた。それでも、ウェット・コンディションのなか、スピードを上げて自分の勇気を見せつけてやろうという気持ちになった。2速でスロットルを踏み込むと、ロードカーよりも早くターボが回転し始める。タイヤがグリップを回復すると、ドライ状態でも、ウェット状態でも、シエラは急に前に飛び出したがるようだ。

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