最後の空冷911 ポルシェ993購入ガイド

公開 : 2017.05.27 17:10  更新 : 2017.11.25 16:22

One to Buy(買いの1台)

●価格:26,000ポンド(約450万円) ●登録:1996年 ●走行距離:84,313マイル(13万5688km) ●販売業者:Hendon Way Motors  ●お薦めポイント:状態が良く無改造 ●ご注意ポイント:ロンドン登録のクルマに付き物の目に見えぬ部分の錆や腐食

新しいシフト・ノブが新調したマーブルグレー・レザーによく似合う。


カレラ2タルガは993好きの人間でも用心してなかなか手を出さない、とHWMの経営者アンソニー・ポスナーは言うが、この個体のグラス・キャノピーとブラインドの動作は完璧で、しかもこのモデルの価格は過去3年間で7,000ポンド(約120万円)ほど上昇してきているらしい。

バリオラムの3.6ℓは暖機中に3bar、走行中に5barを示す。


完全に保存されているサービス履歴を見ると、2011年12月に83,432マイル(13万4270km)に達するまでの13回のスタンプはほとんどがロンドンのディーラーのもの。7人のオーナーを経た3.6は常にロンドン登録のクルマで、典型的な街乗り用として使われていたようだ。2011年にはルーフのドレンの詰まりを修理し、シーリングを調整してエアコンのガス補充を行っている。2009年にはロックを交換し、さらにルーフ・ピラーとスカットルを再塗装している。ボンネットは2006年に再塗装しているが、ノーズに飛び石の傷が少しあり、さらにリア・クォーターにはすり傷が2カ所、また運転先ドアの開閉部継目には錆で塗装の浮いているところが数カ所見つかった。エキゾーストは正常で、アンダートレイも健在である。

前席シートは2008年にリフォームされており、ごくわずかながらしわが見えるが擦り切れたところはまったくなく、後席はまったく未使用のようだ。オリジナルのカーペットはポルシェのオーバーマットの下にあり、状態は良好だ。

フラット6の始動は一発で、温度はゲージの1/3を越えて上昇することはまったくない。このクルマは多くの993と同様にティプトロニック仕様だが、トランスミッションの応答性は良好で、右側のゲートを使えばマニュアル風の操作も可能だ。ブレーキはスムーズかつパワフルでフィールも良好。

良く整備された自然吸気エンジンは驚異的な走行距離をこなせるはずだが、ターボ・ユニットは高いストレスを受けるので摩耗が早い。整備歴やオイルの量と色をチェックし、オイル漏れやオイルスモークの兆候に注意すること。修理は安上がりで済むかも知れないが、大規模な作業が必要になることも少なくない。煙まじりの排気ではバルブ・ガイドの摩耗を疑うべきで、その修理代は3000ポンド(約52万円)を超える。


電装系のチェック。修理には金がかかる。ヒーターのモーター(3台)はそれぞれ600ポンドで、パワー・ウィンドウのモーターは186ポンド(約3万2000円)。タルガ・ルーフは特に修理費用が嵩むかもしれない。


フロント・トランク内にスペア・タイヤとツール・キット(タイヤ空気入れ含む)が揃っているか確認する。フロアとサイド・パネルに衝突のダメージの跡がないか、またバッテリー周りに錆がないか良く観察すること。


6段ギアボックスはまさに宝石。適切なオイル交換を受けていてクラッチに異常がないことを確認したい。さもなくば交換費用は1,500ポンド(約26万円)となる。ゴツゴツと音がする場合、後期型のデュアルマス・フライホイールが必要だということかもしれない。


内装のトリムは高水準だが、ラインナップが多彩なので外れたり損傷した場合の交換部品を見つけるのが困難な場合もある。シートは横サポートのクッションから摩耗が始まる。


フロント・サスペンションは酷使されているので、ウィッシュボーンのブッシュやボール・ジョイント、トップ・マウントやダンパーやステアリングが摩耗しているのはごく普通の事だ。これを完全に修理するとあっさり3,000ポンド(約52万円)に達してしまう。


定期的に使っていないことがキャリパーに問題を起こす最大の原因で、錆の発生やピストンの固着を引き起こす。キャリパーの交換にはコストがかかるが、DIYのリビルド・キットも入手できる

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