最後の空冷911 ポルシェ993購入ガイド

公開 : 2017.05.27 17:10  更新 : 2017.11.25 16:22

On the Road(実走での確認)

993ならどのクルマでも完璧なパフォーマーだ。ベース・モデルの16インチホイールを今でも履いている個体は少なく、弊誌のロード・テスターたちは、より低いスポーツのセッティングで17インチのリムか、ターボかRSの18インチのほうを推奨している。純正以外の大径ホイールは乗り心地と操安性のバランスを損なう恐れがあり、タルガやカブリオレには17インチを超える大径は賢明な選択ではない。これはボディ・シェルに掛かるストレスが過大になるからだ。

試乗時は頭を冷静に保つこと。エンジンを始動したら暖機中に煙が発生しないか点検し、さらに走り出してギアを操作したら、スムーズにシフトができて回転範囲内を通じてパワフルな推進力が出るかをチェックする。これは特にバリオラムの車両では重要だ。油圧は暖まった状態での通常走行時に5barでなければならない。荒れた路面でのバンプの具合を確認するために様々なルートを試乗すべきで、オープン・トップの993ではよほど走行距離が短くない限り多少のきしみやガタつきは仕方がないが、過大であってはいけない。サスペンションとステアリングは必ず摩耗するものであり、何かハンドリングに気がかりな点がある場合は、新品のブッシュやボール・ジョイント、マウント、ダンパーやステアリング・ラックにある程度の金を投じればほぼ確実に治るはずだ。

カレラ4Sは4輪駆動とターボ風の“ワイドボディ”が特徴。


運転に満足した後は、エンジンを止めないままオイル漏れや煙の兆候がないか観察すること。ターボのほうが大きなストレスがかかっており、自然吸気の993ならオイルの補充と定期的な交換を常に行っている限りずっと使い続けられるだろうが、ターボのエンジンはそう遠くないうちに非常に金のかかるリビルドが必要となる可能性が高い。

4輪駆動はより優れた安定性とトラクションが得られるが、その代償としてテールを狂気のように振り回す楽しみは犠牲となる。自分の好みとドライビング・スタイルに合ったクルマを選択するべきだ。もし人気の低いティプトロニックのタルガが自分に必要なクルマで、街中の走りと全天候を求めるのであれば、それを見逃す手はない。きっと比較的廉価に入手して満足できるはずだ。

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