「さらば、ジムニー」 レンジローバーとオフロード対決

公開 : 2017.11.25 10:10  更新 : 2017.11.25 13:38

どうせジムニーは負けるだろう

当日はわたしがレンジローバーで先頭を切って泥の中を走り、ジムニーが付いてこられるか確かめることになった。

無知なわたしが描いたのは、泥だらけの石切場でV8ターボ・ディーゼルの出力を上げて難なく緩やかな坂を駆け上がり、ちっぽけなスズキを運転するマット・プライヤーが坂の下で動けなくなったと無線で知らせてきたら大笑いし、贅沢なレザーシートに包まれて予定通りゴールする、という流れだった。

15分もかからないだろうと踏んでいたのでお気に入りの赤のトレーナーという普段着だったし、ウォーキングブーツを履いてこなかったことを後悔した。

このジムニーはトップ・スペックの1.3ℓSZ4バージョンで価格は約224万円、4気筒ガソリンエンジンは85.2psを出力する。しかも重量はたったの1090kgしかなく、レンジローバーのテールゲートよりほんの少し重い程度だ。

スズキには何も期待していないわたしがレンジローバーでリードし、プライヤーがすぐ後を追ってきた。まず手始めに、土手を右カーブする泥だらけの轍道へと向かった。

レンジローバーにとっては楽勝で、ミラーに映る小さな白いジムニーもぴったり背後に付けてくる。わたしはヒルディセントコントロールに車速の制御を任せ、タイヤがスリップした痕跡を残すことなく急勾配を下った。スズキもやすやすと滑るように下って追い掛けてくる。

忌々しい白いクルマを立ち往生させるためその後の10分間はあらゆることを試してみた。ブーツで歩いたら足が抜けなくなってしまうようなドロドロのぬかるみを突き進んだり、石切場にある二階建て相当の埃っぽい急斜面をレンジローバーで一気に上ったり、レンジローバーでさえボディをこすってしまうような深くてカチカチに固まった泥の轍道をバウンドしたりした。どこへ行こうにも、うっとうしいスズキはすぐ後ろから付いてくる。

数々の障害をくぐり抜けてきたジムニーには弱点がなさそうだが、上り坂でやっつけられるかもしれない、とわたしは考えた。目の前の坂はレンジローバーのルーフよりも低いが、重く粘着性がある泥の坂は急で鋭く、入り口は石切場の中でも最も湿った滑りやすい泥道だ。

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