AWDの安心感、論理的に理由を説明できる? 雪上をアウディで走り、探る 画像163枚

公開 : 2018.02.02 12:10

雪上のストレス、原因と解決策とは

グニャッグニャとした弾性が多く介在する鈍感な車体や、パワーデリバリーにリニアさを欠くエンジンであれば、絶えず自信をもってドリフトをキープすることなどできない。グリップが回復するまでスロットルオフの待ちの時間が増えてストレスが溜まってしまうのである。

一方アタマの硬いAWDシステムならば、カウンターステアを当てている時でも前輪に余計なトルクがかかるため、パーシャルスロットルで車体を安定させようとしてもそれが返って仇になる。

氷上では400psの最高出力や巨大なブレーキといったRSの本懐を活かすことはできないが、しかし235幅のタイヤは、スタッドレスに置き換えても有効で、今回試乗したモデルの中では最もトラクション性能の高いモデルに感じられた。またリアオーバーハングの短さがすっきりとしたボディコントロールに効いていることも確認できた。

 

そしてこれがもしFR車であればテールスライドは容易にはじまるが、後輪がただ真横に滑るだけで推進力が付かず、結果的にコントロールの幅が極端に狭まってしまう。

そう、クワトロ・システムを内包したアウディの走りは安定しているという以前に、まず前にグイグイと進む。だから速く、だから安定し、コントローラブルなのである。これは高速道路の車線変更において、スピードがあれば一連の動作を滑らかに完了させられるという事実にも似ている。

今回の氷上ドライブでわたしが特に感心したのは、クワトロが「余計なことをしない」という点だった。

氷上における直線路においてスラロームと障害物回避を試したS4。車格を越えたしっとり上質なハンドリングは氷上でも健在。障害物回避ではドライバーが下手にブレーキングで前荷重を掛けてしまうとダメ。スロットルオフと一緒にステアリングを丁寧に切っていくと「到底無理」と思えるスピードでもキレイに曲がってくれた。

 

ステアリングを切った時、それを予測していたかのようにフロントの駆動が間引かれていて旋回を助け、一方ステアリングが中立に近く、後輪の空転が大きい時には積極的に前輪が引っ張ってくれる。

というか前輪が掻くことで行き足(わずかな推進力)が付き、後輪のトラクション回復に努めてくれると言った方が正しいだろう。こちらがやりたいと思っている荷重移動を、クワトロ・システムが4つのタイヤを生き物のように操って完遂してくれるのである。

今回の試乗で最も印象的だったのは5mオーバーの全長を誇るRS7スポーツバック・パフォーマンスだった。

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