トヨタ版よりも1~2割安価 ヴォグゾール・ビバロ・エレクトリック(2) 走る小部屋なファミリーEV

公開 : 2026.04.03 18:10

ステランティス・グループのミニバンEV、ヴォグゾール・ビバロ。ロングボディなら特に、キャビンのレイアウトは自在といえます。高速道路は苦手な遅さでも、実用性と快適性が大きな魅力。UK編集部が試乗です。

最高出力135psで高速道路は苦手な遅さ

ヴォグゾール・ビバロ・エレクトリックで、電動の競合モデルと大きく異なる点が、遅いこと。最高出力は135psで、0-100km/h加速は14.3秒。最高速度は131km/hとされるが、相当な助走が必要なはず。2165kgの車重と、大きな前面面積が足を引っ張る。

もっとも、ワンボックスのファミリーカーに、鋭い加速を求める人は限られるはず。市街地では、右足を深く倒せば不足なく活発で、バイパスでも大きく流れを乱すことはない。ドライブモードの「パワー」が、デフォルトになるかもしれないが。

ヴォグゾール・ビバロ・ライフ・エレクトリック XLアルティメット(英国仕様)
ヴォグゾール・ビバロ・ライフ・エレクトリック XLアルティメット(英国仕様)

高速道路では、追い越し車線へ移る前に、後続車が遠いことを確認したいところ。80km/h以上では、増大する空気抵抗にあがらえず、加速が著しく鈍くなる。古いディーゼルエンジンのワゴンのように。

回生ブレーキは、パドルで数段階から効きを調整できる。最も強くすれば、ワンペダルドライブへ近い減速感も得られ好ましい。

穏やかな特性でゆったり遠くを目指せる

サスペンションは柔らかく、操縦性より快適性重視。ロータリー交差点を、素早くすり抜けることは得意ではない。ホイールベースは3.3mほどあり、見た目通りの大きさを感じさせ、重々しく走るクルマといえる。

重心位置が高く、アルミホイールは17インチで、カーブではボディロールが小さくない。ステアリングホイールは大きく、レシオは低く、回頭性は穏やか。反面、車内は高速道路でも充分静か。特性を受け入れれば、ゆったり遠くを目指せる。

ヴォグゾール・ビバロ・ライフ・エレクトリック XLアルティメット(英国仕様)
ヴォグゾール・ビバロ・ライフ・エレクトリック XLアルティメット(英国仕様)

波打つような路面を通過しても、衝撃は均され、ボディはフラットに保たれる。ボディ剛性の影響もあり、鋭い入力を吸収しきれない場面はあるけれど。

長く広いボディで小回りは効かず、駐車時には腕を沢山回すことになる。それでも、視点は高く視界は広々。運転が退屈というわけではない。

高速道路中心の航続距離は270kmほど

航続距離は振るわず、カタログ値は347kmながら、高速道路を巡航させた平均は270kmだった。市街地や一般道が中心なら320km近くへ伸びるものの、実家への帰省には物足りない数字だろう。

急速充電は100kWまでで、最短1時間でフル充電にできる。充電ポートは右のフロントフェンダー側にあり、素早くケーブルを繋げる。牽引重量は、1000kgまで対応する。

ヴォグゾール・ビバロ・ライフ・エレクトリック XLアルティメット(英国仕様)
ヴォグゾール・ビバロ・ライフ・エレクトリック XLアルティメット(英国仕様)

ビバロ・ライフの英国価格は、9シーターのエントリーグレードで約3万5000ポンド(約735万円)。試乗したロングボディのトップグレードでは、4万8935ポンド(約1028万円)となる。車内の広さや装備を考えれば、妥当な設定といっていい。

フォルクスワーゲンID.バズの場合、ロングボディはかなりの高額。トヨタのきょうだい車、プロエースの同等仕様より、英国では1割から2割ほど安い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ヴォグゾール・ビバロ・エレクトリックの前後関係

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