自動運転で事故 誰の責任? 国土交通省の見解は 報告書を読み解く

2018.04.02

国交省の研究 報告書を読み解く

世界各地での自動運転の実証試験の現状を把握して上で、国土交通省が実施した今回の研究会では、近未来における自動運転での責任の所在ついて協議した。

具体的な時期としては、2020年〜2025年を想定した。これは、日系を含む世界各地の自動車メーカーやIT企業が公開している自動運転の量産化に関するロードマップを基準に考慮した。

この期間は、自動運転と自動運転ではない自動車、または様々な自動運転レベルの自動車が混走する「自動運転の創世記」という位置付けである。

現在、自動運転のレベルは、米自動車技術会(SAE)や米運輸省/道路交通安全局(NHTSA)によって、レベル1からレベル5までの5段階と規定されている。

すでに、レベル2までは、日産トヨタ、ダイムラー、BMWテスラなどで量産化されており、レベル3についても2018年中にアウディなどが量産を始める予定だ。

自動運転の責任の所在について、SAEとNHTSAの解釈では、レベル1とレベル2では運転者、レベル3からレベル5までは自動車のシステムにあるとしている。

レベル3については、システム側が自動走行の維持が難しいと判断した場合、運転者に対して手動運転への転換を求めてくるという設定のため、走行状況に応じて運転の責任は変化する。

こうしたレベル1〜3については、自動車損害賠償について現行の考え方が適用される場合が多いと、今回の研究会は考えている。

一方、乗車員が運転者ではない完全自動運転のレベル4とレベル5については、これまでの自賠責の考え方を根本的に見直す可能性がある、と結論づけている。

また、日本とドイツでは自賠責に関する法的な設定が違うことに対しても議論が高まったことも興味深い。

自動運転の本格的な実用化に向けて、自賠責を含めた「自動運転の責任の所在」の議論はまだ始まったばかり。報告書を読んで、そう感じた。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新国内ニュース

自動運転の人気画像