リスター・サンダーに試乗 ジャガーF-タイプ・ベースの「モンスター」

公開 : 2018.04.21 16:10

リスターという名称

リスターという名前から思いうかべるものは、聞く人の年齢によってかわってくるだろう。記者のようなミレニアル世代だと、やはりストーム。1990年代後半にいくつものGT選手権を戦った7.0ℓエンジンのレースカーと、45万ポンド(6770万円)で売り出されたそのホモロゲーション・バージョン4台だ。

リスターCEOのローレンス・ウィタカー(わたしよりすこし年上だ)にとっては、ル・マンだそうだ。ジャガーXJSの改造車だが、その無遠慮なまでのボディパーツをまとったボディの強烈な印象は、608psの破壊的なパワーもかすませるほどだ。

彼とともにリスターの商標権を2013年に数十万ポンド(数千万円)で購入した父アンドリューにとっては、あの伝説のスポーツカー、ノブリーだ。そしてじっさい、出所不明のノブリーとケンブリッジにそっと眠っていたノブリー生産用のパーツがなければ、今日試乗するサンダーもこの世に生まれていないのだ。

この「1958年式」ノブリーが、ウィタカー父子をケンブリッジのジョージ・リスター・エンジニアリングに導いた1980年代のシャシーと2000年代のボディでできていると知ってがっかりした。

そこはリスターオリジナルのレースマシンの生まれ故郷で、忘れ去られた青写真とパーツ、さらにはオリジナルの治具まであったのだ。この時点で、主旨がたんにノブリーをレストアすることからリスターそのものを買いとって10台の再生車をつくることにかわったのは、ごく自然なことだった。

これはほかの事業―中古車保証会社のワランティワイズ―で得た富をもってすればたやすいことだったし、FIAからヒストリックカーレースの認可をとりつけたこともあって、1台25万ポンド(3760万円)の価格にもかかわらず、箱から出したような新車のノブリーはまたたく間に完売となった。

はやくも5年が過ぎさり、リスターは6月にひかえるこのサンダーのリリースにむけて準備の最中だ。それはすなわち、リスターのプロダクトカーの復活だ。

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