BTCC熱狂時代 中古で探す、アルファ155/BMW 3シリーズ/ボルボ850 前編

公開 : 2018.04.29 14:15

ボルボ850が上位 誰が予想した?

次はボルボだ。レース界では、古くはPV444/544、アマゾンや240ターボが成功を収めているが、1994年当時は目立たない存在だった。それを覆したのが850で、市販車のスノッブさをサーキットに持ち込んだばかりか、それを高めさえしたのだ。そして、もし “あの噂” が本当なら驚きだ。

ボルボがレースカーを公開したのは、3月も終わりに近付いてからで、ちょっとした騒ぎを巻き起こした。ドライバーだったリカルド・リデルはこう振り返る。「ライバルたちは、スポーティなイメージを強めるのが大きな目的でしたからね、ワゴンの参戦を快く思わなかったわけです」


とあるジョークがパドックで飛び交い、それはやがてメディアでも囁かれるようになった。“ボルボはBTCCのバトルを勘違いしてるのじゃないか? あのクルマの室内には、リアに犬用のガードが付いてるらしいぞ” というものだ。

そんな調子でからかわれたボルボ850レーシングチームだが、その返しは気が利いていた。荷室部分にコリー犬のぬいぐるみを積み込んで、パレードラップを走ったのである。ワゴンボディというマシンのユニークさと、犬を絡めた遊び心は話題となり、マーケティング部門は思わぬボーナスと喜んだ。しかし、テスト期間の短さゆえに、これが上位を走ると予想した者はいなかった。レース解説者のマレー・ウォーカーでさえ、その例に漏れない。ブランズハッチにおいてヤン・ラマースが駆る大柄なスウェーデン製ワゴンが、上位グループに食い込んだ時には驚きの声を上げている。


「ボルボがワゴンで参戦すると聞いた時は誰もが笑い者にしましたが、もはや誰も、これがおかしなものだなんて思いはしませんよ」

後編では、いよいよポルシェ設計の5気筒に火を入れる。

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