パワフルさに不釣り合いなボディ アウディ200 アバント・クワトロ・ターボ ボルボ850 T-5R エステート (2)

公開 : 2023.10.15 17:46

モータースポーツで活躍した850 エステート Urクワトロの駆動系を積む200 アバント・ターボ 古き良きステーションワゴンを英国編集部がご紹介

グレートブリテン島での残存数は5台前後

アウディ200 アバント・クワトロ・ターボは希少で、グレートブリテン島での残存数は5台前後と考えられる。今回ご協力いただいた、ジョシュ・スペンサー氏がオーナーの1台は、特にコンディションが素晴らしいようだ。

彼は電気自動車の開発へ関わる技術者で、TVRも1台所有するという。「新車で購入した初代オーナーは、2013年まで所有していましたが、1999年以降は博物館で眠っていた状態でした。ミレニアム企画で展示されてから、しまわれたままだったようです」

アウディ200 アバント・クワトロ・ターボ(1985〜1991年/英国仕様)
アウディ200 アバント・クワトロ・ターボ(1985〜1991年/英国仕様)

「その後、2013年にケンブリッジ在住の科学者が購入。オリジナルのホイールへスタッドレスタイヤを履かせ、スキー場への移動手段として乗られていました。その後、もう1人のオーナーを挟んで、私が入手しています」

「当初はアウディ100を探していたのですが、200のアバントはもう出てこないだろうと考えたんです。自分が子どもの頃は、両親がアウディ100 CSアバントに乗っていて、同じホイールを履いてたのを覚えてます」

「購入直後に300km以上を問題なく走り、自宅へ連れ帰ることができました。わたしは細部へのこだわりが強いので、細かい部分まで丁寧に仕上げています」。とスペンサーが説明する。各部のエンブレムや天井の内張りは、新品同様の部品へ交換済みだ。

「テールライトの間に半透明のパネルが付くのが通常ですが、アウディ・スポーツ仕様にしています。純正オプションとして選べましたが、アバント専用ではありませんでした。100用のレンズを買って、塗装してあります」

強力なエンジンとは不釣り合いなボディ

特にフェイスリフト前のモデルは珍しく、レストアが簡単ではない。それでも、スペンサーは楽しみながら作業していると話す。セントラ・ホイールもオプションだったが、インターネット経由でリトアニアから取り寄せたそうだ。

「ホイールボルトが5本仕様のレアなアイテムです。地元の技術者へ仕上げ加工を依頼しています。ボルボBMWメルセデス・ベンツと違って、アウディの場合は15年も経つと部品が殆ど入手できなくなります」

アウディ200 アバント・クワトロ・ターボ(1985〜1991年/英国仕様)
アウディ200 アバント・クワトロ・ターボ(1985〜1991年/英国仕様)

「幸運にも、クラシック部品を手掛けるアウディのトラディション部門から、新しいクワトロ・エンブレムは購入できました。200のアバントは東欧でも人気だったので、時間は必要ですがネットで探す価値はあります。15か国へ捜索範囲を広げています」

他方、英国にはボルボ850 T-5Rのオーナーズクラブが存在する。ネオクラシックとして、価値も確実に高めている。今回のクリーム・イエローのエステートも、新車のように佇まいが凛々しい。

2.3L 5気筒ターボエンジンは、特徴的なビートを刻みながら勇ましいサウンドを放つ。車内は200 アバント・クワトロと同様ゆとりがある。リアミラーを覗くと、遠くにリアウインドウが見える。サンルーフが付いており、開放的な車内を一層広く感じさせる。

強力なエンジンとは不釣り合いな、ステーションワゴン・ボディを背負う成り立ちが、矛盾しているようで独特の魅力を生んでいる。直線基調のフォルムも。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・フィリップス

    Jack Phillips

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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