長期テスト マクラーレン570GT(3) NSXとの比較 570Sとの違い

公開 : 2018.05.24 16:10


積算8664km かつての盟友、ホンダ

マクラーレンとホンダといえば、過去のF1でのパートナーシップを思い返すひとも多いだろう。昨年までの残念な結果も記憶には新しいけれど。多くのカップルがそうであるように、現在の両社はそれぞれ別の道を歩んでいる。両社が共にした痕跡は、もはや残っていないようだ。

マクラーレン570GTとホンダNSXとを比較した時は、まさにそれを物語っていた。また以前、英国AUTOCARの姉妹誌で、アウディR8ポルシェ911ターボSも交えたグループテストを行ったのだが、改めて振り返ってみようと思う。

マクラーレンは最もエキゾチックな雰囲気を漂わせ、価格も高い。しかしNSXも近似した数字を持つ。570psで、17万9155ポンド(2741万円)の僕の570GTに対して、ホンダNSXの広報車は581psで18万250ポンド(2757万円)。資料によれば、どちらもほぼ同等のオプションを含んだ価格となる。

また両車がターゲットとしている顧客層も似ている。高次元のパフォーマンスとエキゾチックな雰囲気を備えつつ、優れたドライビングマナーを持った、日常的に利用できるスーパーカーを欲するひとたちだ。

この共通する立脚点にありながら、エンジニアリングのアプローチは大きく異なる。F1でのパートナーシップの不一致を、2台のロードカーが暗示しているようにも思えてしまう。もっとも、サーキットでは緊張状態にあったとしても、企業の思想や理念が明確に違っているから、自ずとそうなったのだろう。

マクラーレンは、基本的にはかなりシンプルな構造のクルマだといえる。最新技術に執着することもなく、ドライビングの基本となる、ニュアンスやフィードバックを極めるというアプローチをとっている。それらはすべて置いておいて、ハイブリッドシステムや多彩なドライビングモードを備えるホンダとは、対象的。

ただ、ハイパーカーに相当する複雑な技術の集積を、スーパーカーの価格で提供するホンダには、評価に値するだろう。

ホンダやドイツ勢を交えたグループテストでは、NSXが提供するパフォーマンスの高さを歓迎する意見と、わたしのように、マクラーレンの純粋さを良しとするひととで、見解が分かれた。マクラーレンに対する熱い想いもあって、グランドツアラーという性格を持つクルマでありながら、純粋なスポーティさの視点が強くなったように思う。

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