幻のコンセプト「MGローバー75クーペ」 世に出ていたら? 再現車に試乗

公開 : 2018.11.11 16:10

試乗してみると

なかでも「いちばんの難関」だったのは、衣替えしたBMW 4シリーズのドアが正常に動くようにローバーのECUを手直しすることと、風きり音低減のためにAピラー下部の形状をととのえる気の遠くなるような作業だったという。

印象的な赤いレザーのインテリアも4シリーズからの拝借だが、ローバーのウォルナット張りのダッシュボードに合うようにと、ドアトリムに貼る木目パネルはわざわざアメリカから取り寄せたそうだ。

細部へのこだわりは圧巻というほかないが、それは運転しても同じで、ローバーの筋肉質ながらも繊細な外観にZTエンジンのたくましい性能がよく似合っている。洗練されたスポーティさを味わえるし、たしかに風きり音もまったくない。これを体験すると、本家MGローバーから75クーペの生産車がついぞ世に出なかったのがよりいっそう無念におもえてくる。

まあ、どれだけ大変な作業だったかはうかがい知れるし、ロイドがこのクルマを造りあげるのに費やした2500時間―ロイドいわく「週7日を1年半」―という時の長さが、生まれるのはこれ1台こっきりになることをはっきりと物語る。だが、たったひとりの人間が小屋で仕上げたとは信じられない出来映えではないか。

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