丘とスリルと腹痛と ジープ・ラングラーでルビコン・トレイルを走破

公開 : 2018.11.21 10:40

カリフォルニアの深い山中を縫うルビコン・トレイルは究極のオフロード肝試しです。挑戦するこの武骨なクルマは、その名もジープ・ラングラー・ルビコン。このクルマのあるべきところで、存分にそのオフロード性能を見せつけてくれました。

もくじ

1週間にわたるオフロード走行
ルビコン・トレイルへ
60年以上にわたるジープの祭典
武骨だが装備は充実
本来の土俵での活躍
疲れるが楽しい経験

1週間にわたるオフロード走行

アメリカはカリフォルニアの世界に名だたるサーキット、ラグナ・セカをご存じの方もおおいだろう。中でも「コークスクリュー」と名のつく第8コーナーでは数々の伝説がうまれた。

きつく見通しの悪い左コーナーの直後には、6階ほどの高さから奈落の底へ落とされるような下り急勾配の右コーナーがアリ地獄のごとく待ちかまえる。それでも、ミスに細心の注意をはらい、強烈なGに顔をゆがめながらも張りつめた数秒間をうまくすぎれば、あとに残るのはタイヤスモークだけだ。そう、次の周回までは。

おなじコークスクリューのような道でも、舗装などないガレ場を1週間も上ったり下りたりするなんて想像できるだろうか。おまけに、通り道には膝ほどの高さもある花崗岩がそこらにゴロゴロしているのだ。火打ち石のように黒ずんで鋭くとがったのもあれば、ガラスみたいにツルツルすべるのもある。たいてい表面はじめっと湿っていて、小石と泥が混ざったぬかるみの上に散らばっている。

視線を上にあげても、目にはいるのはうっそうと茂る米松ばかりで、ラグナ・セカのような青空は拝めない。通り道の幅だってあちらはクルマ5台分くらいはあるがこっちは1台がやっとこさだし、下りのキツさといったらもう胃が締めつけられそうだ。

そうそう、よもや携帯電話が通じるなどとお考えではないだろうが、そのとおり何時間も圏外で過ごすことになるのだ。ギブアップしようにも非常口などないから、お肌に塗った日焼け止めにホコリが吸いついて顔から腕までグチャグチャになってもあくまで平静を保つしかない。

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