回顧録 550ps級サルーン対決 CLS63AMG vs パナメーラ・ターボS

公開 : 2019.02.02 09:10

駆動方式による違い

公称されている動力性能の数字を見ればそれほど驚くべきことではないのかもしれないが、パナメーラの四輪駆動によるトラクションの違いを忘れていると、数値に表れない差を見過ごしてしまうので注意が必要だ。タイヤに粘着力が確保されている限り、普通に考えればパワフルさで劣らず、しかもより軽量なCLSのほうが速くて当然なのだ。だが、実際にはそうではない。

CLSは中速域のパンチこそ圧倒的だが、最高出力発生回転数に達するはるか手前で出力曲線がフラットになってしまうように感じられる。対するパナメーラにそうした頭打ち感はまったくない。エンジンが最高の仕事をこなしているのを知る唯一の手掛かりは、次のギアにシフトアップされているという事実だけだ。

ただ、この出力特性の違いは、実際にはさほど速さに影響していないのかもしれない。同様に、パナメーラがある一点からもう一点への移動で、それがドライ路面であっても並外れた速さを見せつけるのは間違いなく4WDのトラクションがあればこそだという事実も、人によっては重要には思えないのかもしれない。

忘れてはならないのは、CLSが後輪だけで行うことになる仕事は、購入時に注文してオプション代を払わない限り、リミテッドスリップデフの助けを得られないという事実である。そして、たとえLSDを装着したとしても、そこがドライ路面であっても、出力がトラクションを上回ってしまう事態はいとも簡単に起こり得ることも忘れてはならない。

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