AUTOCARアワード2019予選 真のアイコン選手権 決めるのはあなた(後編)

公開 : 2019.03.17 05:50  更新 : 2021.03.05 21:42

トヨタカローラ

皆さんがどう思っているかは分かっている。トヨタ・カローラが自動車世界のアイコンとは何故だろうとお思いに違いない。安全で高い信頼性を誇り、まったく平凡なファミリーカーであることに間違いはないが、自動車世界のアイコン?

だが、このクルマがアイコンでと呼ぶに相応しいモデルであることに間違いはなく、その理由をこれからご説明しよう。

カローラはこれまでに世界でもっとも売れたクルマであり、1966年のデビュー以来、トヨタはカローラの名を冠したモデルを4500万台販売している。言うまでも無く大変な数字だ。

もちろん、単に販売台数が多いというだけがアイコンではない。スタジアムを満員にする親父臭いロックバンドのようなものだと、カローラを非難することもできるだろう。だが、このクルマがやっているのは、心地よい穏やかな曲を大量に作り出すことで、ヒットチャートを独占しているようなものなのだ。トヨタのコールドプレイと呼んでも良いかも知れない。

間違いなく、カローラが売れている理由はその手ごろな価格と実用性、そして高い信頼性が理由であり、決して動力性能や最新のデザインで選ばれるようなモデルではない。さらに、このクルマは溢れんばかりの称賛を受けるようなタイプでもない。

一方で、カローラは多くの批判を受けるようなモデルでもなく、オーナーに静かな満足感を与えることのできる、目的を黙々とこなす良くできた道具のようなクルマなのだ。

実際、これは大変な任務だ。ファミリーカー市場の競争は非常に激しく、多くのメーカーが優れたオールラウンドモデルを創り出すことに苦労するなか、トヨタはカローラで12世代、50年以上にもわたり、その任務を果たしてきている。


だが、それがさらなる議論のもととなる。12世代、4500万台という販売台数に含まれる、多種多様なモデルを結び付けるのは、カローラという名前だけであり、初代の登場以来、後輪駆動、前輪駆動、さらには四輪駆動のすべての駆動方式を採用するとともに、ハッチバック、サルーン、エステート、クーペといったさまざまなボディバリエーションを展開し、さらにはそのボディサイズも、時には大きく、時には小さくなり、各市場向けにそれぞれ異なるボディまで用意している。こうした結果、今回のノミネートリストにカローラは相応しくないと考える向きもあるだろう。

確かに、12世代にもわたる歴代のカローラには、さまざまなバリエーションモデルも存在しており、そうしたすべてにポルシェ911のような、スタイリング上の繋がりを見つけることは出来ない。だが、すべてのカローラに共通しているのは、ひとつの信念であり、その信念とは手ごろで、望ましい普通のクルマというものだった。

どの世代のカローラを見ても、その時代に合ったファミリーカーであり、トヨタがその目的を達成するため、それまでのやり方を変えることに躊躇したことなどなかった。他の自動車メーカーであれば、長く続いたモデルに与える変化と、それに伴うリスクに対しては、より慎重な態度をとっている。

例えば、1974年登場の3代目カローラで、ボディサイズの縮小や、より経済的なエンジンを求める市場の声に対応する一方、1983年デビューの5代目では前輪駆動を採用している。さらに、2000年、トヨタは9代目モデルで初めて欧州向けのデザインを採用しているが、それはこの重要市場におけるカローラの魅力を引き上げるためだった。

この方法を踏襲した最新モデルが新型カローラであり、13年の空白のあと、もう直ぐ英国の地へ戻って来ることになる。当初は次期オーリスとして発表されたモデルだったが、このスマートなスタイルを持つハイブリッド専用ハッチバックが、カローラが掲げる現代に相応しいひとびとのための手ごろなモデルという理念を、完ぺきに体現していることに気付いたトヨタが方針転換したのだろう。

トヨタ・カローラは自動車界のアイコンと呼ぶに相応しい。だが、それはトヨタが4500万台も販売したからではない。トヨタが4500万台も販売することができたのは、カローラが自らの選んだ道を究めた存在だからだ。
(ジェームス・アトウッド)

結果は皆さん次第

以上の17台が英国版AUTOCARスタッフの選ぶアイコンたちだ。次は皆さんにお気に入りの1台を選んで欲しい。今回ノミネートされたなかから、真のアイコンに選ばれたモデルは5月14日にシルバーストーン・サーキットで行われるAUTOCARアワード2019の読者が選ぶチャンピオン賞を与えられることになる。autocar.co.ukからぜひ1票を投じて頂きたい。

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