空飛ぶレンガ 実用性も高いボルボ850T5の中古車 購入の魅力と注意点

公開 : 2019.04.27 07:50

鮮烈なクリームイエローに250ps

ここで、T5やT-5Rなどを整理しておこう。初めに850のホットバージョンとして登場したクルマはT5。サルーンとエステートそれぞれが用意され、1993年に発表された。2.3ℓの直列5気筒ターボエンジンは225psを発生させ、0-100km/h加速も当時としては充分速い7.3秒。1速ではトルクリミッターが作動していたが、ホイールスピンを許しており、比較的落ち着いて運転してもフロントタイヤは1万6000kmも持てば良い方だった。ちなみに850は前輪駆動車だ。850 T5は速いクルマだったものの、控えめなトランクリッドのスポイラーを除いて、見た目は標準モデルと大きな違いはなかった。

しかし1994年に登場したT-5Rは、フロントスポイラーの付いたバンパーにサイドスカート、チタングレーに塗られた17インチのアルミホイールを装備し、アピアランスも「速く」なった。ボディカラーは、グリーンやブラックの他に、クリームイエローも選択ができ、ボルボに対するイメージを大きく変えるきっかけとなったバージョンだといえる。エンジンはオーバーブースト機能で240psを発生させ、サルーンだけでなくエステートでも、0-100km/h加速を6.9秒でこなす事実に、そのイメージはさらに強く印象付けられることになる。

またサスペンションの設定の他に、インテリアデザインの面でポルシェ社(ポルシェ・デザイン)が協力しており、ダークグレーのレザー内装に合成スエードとウッドパネルなどが特徴。英国に輸入されたのはわずか400台で、それに続くクルマへの注目を高めることになった。1995年に登場した、さらにパワフルな「R」だ。

2.3ℓのエンジンにはギャレット製の一回り大きなターボが組み合わされ、エンジンマネージメントも見直し、ターボラグを削り、インタークーラーの効率を向上させることで、250psを発生させた。リミテッド・スリップデフと5速マニュアルが走りを支え、0-100km/h加速を6.7秒に短縮している。ボディは変わらずサルーンとエステートが用意されていた。

見た目で損だったカリスマ性で劣るT5の残存個体は少ないものの、T-5RとRは今でも比較的多く残っている。錆も少ない日本からの輸入車は魅力的だと思う。それでも、整備記録やスペックが申し分ないか確認しておきたい。手に入れたなら、XC90に俊足ぶりを見せつけてほしいところだ。

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