ロールス・ロイスの劇的コンバージョン 世にもエレガントな働くクルマ

公開 : 2019.05.21 07:10  更新 : 2020.12.08 10:40

番外編:まだまだあるコンバージョン・ピックアップ

コンバージョン・ピックアップトラックの中で間違いなく一番のエキゾチックさを備えているのが、モンツァ・サーキットとイモラ・サーキット用に作られた、5台のマセラティの消防車ではないだろうか。ベースになったのはクアトロポルテで、ボローニャを拠点にする消化器の専門企業、CEAエスティノリ社によって1973年に製造された。もちろん高圧放水機も搭載していた。イタリアの高速サーキットで活躍した5台だったが、その内の1台は活動途中で壊されてしまう。生き残った4台はエンスージャストの元へと引き取られ、ヨーロッパ各地へと散らばった。

ポルシェをベースにしたピックアップトラックも何台か存在しているが、最もカッコ良いのは、1972年にカリフォルニアの伝説的なレースカーの開発者、ディック・トラウトマンが生み出した914ベースの2台だろう。1台は標準のクルマがベースで、オペル・マンタのテールライトにタルガトップを備えいた。もう1台はワイドフェンダーに6気筒を搭載した914/6がベースで、レースのサポート車両目的で制作された。

またデンマークでは、スポーツカーに課せられる高額な税金から逃れるため、928GTSをピックアップに変更する事例が見られた。コペンハーゲン周辺では、写真の被写体として名物になっていた時もある。イタリアの跳ね馬も、コンバージョンからは逃れられない。2014年にスーパーカー・ワークショップがフェラーリ412を改造し、約1mの長さの木製の荷台を取り付けた例がある。

ほかにもポニーカーの専門点を営むビル・シェパードによる、フォードGT350風のマスタングもある。しかし、ジェリー・ハサウェイがボンネビルのサポートカーとして改造した、シトロエンSMの美しさにはかなわない。ロサンゼルスを拠点にするチームで、ボンネビル・ソルトフラッツ(塩類平原)のレコードホルダーでもある。

ピックアップトラック化されたSMが牽引するのは、ハイドロ・サスペンションを搭載した車載トレーラー。そのトレーラーには、320km/hを超えるスピードレコードに挑戦する、完璧に仕上げられたシトロエンSMのレーシングマシンが載せられた。すべての車輪にはアルミニウム製のムーンディスクが取り付けられている。この特別なシトロエンのペアは、カリフォルニアのマリン自動車博物館に展示されている。

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