ロードテスト BMW 320d ★★★★★★★★★★

公開 : 2019.05.26 10:10  更新 : 2019.06.06 00:56

走り ★★★★★★★★★★

シーケンシャルターボ化された4気筒エンジンは、320dのパフォーマンスをほぼ全面的に改善した。F30世代の先代320dがモデルライフの終わりを迎えても、いまだに加速でも効率面でも競争力を保っていると考えているなら、新型のG20がいかに強力か予想できるのではないだろうか。

たとえば0-97km/h加速で、6秒台をマークする4気筒ディーゼル車に出合うことは稀だが、この320dは6.9秒だった。このクラスの4気筒ディーゼルは、7.5〜8.5秒というのが一般的だ。ちなみに、E30世代の初代M3は6.1秒だった。BMWの公式データでは0-100km/hが6.8秒となっているが、われわれが満タン・2名乗車で計測したことを考えれば、より理想的なコンディションでテストすれば十分に実現可能な数字だと思われる。

追い越し加速やパフォーマンスの柔軟さもまた優秀だ。8速ATがやや大きなスロットル入力を受ける前に素早い変速を行わなければならないときには、エンジンがたまに躊躇するところもあるが、世に出ているたいていの8速や9速のATにおける水準に照らせば、心地よいほど明確で、イージーなドライバビリティを生むトランスミッションだといえる。パワートレインにムチを入れると、低めのギアでは中回転域でのみなぎるような推進力を生み出し、4000rpm以上ではもともと他より回転のよかった先代320dよりもよく回る。

しかし、機械的な洗練性の前進ぶりはそれ以上だ。これまでスムースさや静粛性で、CクラスやA4のディーゼルモデルを上回ることのなかった320dだが、今回はセグメントのトップに値する。エンジンの始動も停止も落ち着かないところはなく、騒々しさや粗さを感じさせずに回転が上がり、ハードに走ってもキャビンへ侵入するノイズは抑えられたままだ。耳で楽しめるクルマではないが、それが期待されるクルマでもないだろう。ますます6気筒が少なくなっているエンジンバリエーションにおいて、サウンドのキャラクターは以前ほどマイナス材料にならないはずだ。

テストコース

素晴らしいレベルのボディコントロールと敏捷性、有無をいわせぬハンドリングもあって、320dはミルブルックのアルパインヒル・ルートを、プレミアムセダンには滅多にないほど熱く駆け抜ける。

このコースのタイトコーナーでみせる鋭さは、この手のクルマにはないものだ。ステアリングはダイレクトといえるが、驚くほどではなく、安定してターンインし、すべてのアペックスを楽に捉え、前輪の位置をしっかり把握することができる。

4気筒ユニットは、かなりハードに扱っても実に洗練されたさまを乱さない。パワーは、タイトなコーナーを低めのギアで抜ける際にスロットルステアが出はじめるが、より速くてもニュートラルに戻せる程度で、限界域でのハンドリングは常に魅力的だ。

サイドウォールの硬いランフラットタイヤは、T2のようなコーナーでの滑りはじめを曖昧で乱れたものにしがちだったが、それはこの320dにはあてはまらない。グリップ限界の間際でも、非常にコントロールしやすい。

T4のような逆バンクで速度が高めのコーナーでも、スタビリティは上々だ。

サスペンショントラベルが極限に達した際のボディコントロールは、T6へ入り、坂の頂上を超える際に沈み込むときにも非常に素晴らしい。

発進加速


テストトラック条件:乾燥路面/気温18℃
0-402m発進加速:15.5秒(到達速度:144.8km/h)
0-1000m発進加速:28.4秒(到達速度:185.2km/h)


アウディA4 2.0 TDI 190 Sライン Sトロニック(2015年)
テストトラック条件:湿潤路面/気温13℃
0-402m発進加速:16.7秒(到達速度:140.7km/h)
0-1000m発進加速:30.0秒(到達速度:179.4km/h)

制動距離


テスト条件:乾燥路面/気温18℃
97-0km/h制動時間:2.54秒


アウディA4 2.0 TDI 190 Sライン Sトロニック(2015年)
テスト条件:湿潤路面/気温13℃

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