「中国のイーロン・マスク」 Nio社CEOインタビュー 新たなユーザー体験重視

公開 : 2019.06.08 09:50

車両生産は外部委託 バッテリーは交換可能

まさに、この街が、テスラとNioの違いを象徴する場所となっている。自社生産を行う代わりに、Nioでは、自動車業界の先達にその車両生産を大きく頼っており、合肥市に拠点を置く国営のJACモータース(安徽江淮汽車)への生産委託で合意しているのだ。共同出資ではなく、純粋な供給契約だが、JACでは新たな工場建設を行うとともに、Nioの設計と基準に基づく車両生産を行うための人員まで提供している。

生産で適用される基準は、工場に常駐するNioのマネジメントチームによって設定されており、そこには、自動車業界における経験が反映されている。Nioのスタッフは以前、ボルボフォードといった自動車メーカーの中国部門で働いていたのだ。

投資アナリストのなかには、昨年NioがJACとの協業を選んで、自社工場の建設計画を中止したことに懸念を示す声もあったが、この工場を見れば、Nioの決断が合理的なものであることが理解できるだろう。Nioはスムースな生産立上げを行う最短の道を選んだのであり、合意から2年にも満たないというのに、すでに工場は完成し、車両の生産も始まっている。

この23万平方メートルの広さを持つ新工場では、多くが他の拠点から移動してきた、2000人以上のJACスタッフが働いている。だが、彼らが生産しているのは、完全なNioの車両であり、特にボディ工場では、すべて材料にアルミニウムが使用され、高度な自動化が行われている(全作業の約97%が、307台のロボットによって行われる)。


この自動化は、Nioのモデルで使用される材料のレベルの高さを反映しており、ES8の場合、96%以上がアルミニウム製となるが、さらに、各部材は、Nioが磨き上げた7つの方法で接続されることで、最大のボディ強度を確保している。

Nioでは、バッテリー重量を相殺するべく、そのボディにスチールではなくアルミニウムを使用しているが、その他にも、フロントには永久磁石式電気モーターを、リアには誘導モーターを使った電動パワートレインなど、さまざまな興味深い技術が採用されている

電気モーターへの電力は、フロア下に置かれた84kWhの容量を持つバッテリーから供給されるが、このバッテリーこそが、Nio最大の革新と呼べる存在かも知れない。バッテリーパック全体が簡単に脱着/交換可能なように設計されており、Nioパワーが運営するバッテリー交換ステーションであれば、およそ5分間で、すべて全自動で交換作業を行うことができる。

さらに、長距離移動の際の充電時間を削減するべく、Nioのドライバーはバッテリーのアップグレードか、必要に応じて大容量のバッテリーパックに交換することも可能だ。

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