登録済み未使用中古車、なぜ安い? 格安になるカラクリ 購入/下取りの注意点

公開 : 2019.06.04 19:10  更新 : 2021.10.22 10:18

登録済み未使用中古車の注意点は何か

登録済み未使用中古車には、注意点もある。

まず輸入車を大幅値引きで買った場合も含めて、数年後に、有利な条件で売却することはできない。安く買ったのだから、高く売れないのは当然だ。その意味でもモデル末期の輸入車は、大幅な値引きを引き出して買わないと損をする。

また今は2019年の中盤に差し掛かったが、登録済み未使用中古車には、2018年式も多く含まれる。1年くらい放置されていた可能性もある。2018年式を買った場合、購入したのが2019年でも、2年間使えば3年落ちになってしまう。短期間で売却するには、不利な要素が多い。

逆に登録済み未使用中古車でトクする方法は、故障が増え始めるまで使うことだ。10年くらい使えば、たとえ値引きの少ない新車を購入しても、高く売ることはできない。そうなれば登録済み未使用中古車の不利が生じにくくなる。

なお高年式の中古車を買った時は、保証継承の手続きを行いたい。保証を継承させれば、新車に付帯される保証を中古車でも利用できるからだ。この手続きは正規販売店で点検を受けて、有料で行う。

登録済み未使用中古車には割り切りが必要

業界的な話をすれば、登録済み未使用中古車は必要悪とされる。走行距離の短い高年式の中古車が低価格で流通すると、中古車価格が値崩れを起こし、普通にユーザーが使った中古車の価格まで下げてしまうからだ。

そうなるとユーザーは、愛車を高値で売却できず、自分の資産価値を減少させる。いわゆるリセールバリューの悪化で、顧客の不利益になるから好ましくない。

特にユーザーによっては、輸入車はリセールバリューが高いと信じている(今は状況が変わりトヨタランドクルーザーなど国産SUVの方が高かったりする)。リセールバリューがさらに悪化すると、下取りする時に顧客との間でトラブルに発展することもある。

ちなみに昔は、売れ残った在庫車を国内の中古車市場には流通させず、海外に輸出していたこともあるメーカーもある。このような手間を掛けることで、国内のリセールバリューを守っていた。

従って登録済み未使用中古車は、自己責任で購入して、その後の面倒や価値の目減りは自分で背負う割り切りが必要になるだろう。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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