ロードテスト ランボルギーニ・アヴェンタドール ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2019.06.30 09:50  更新 : 2019.07.08 22:39

走り ★★★★★★★★★☆

サーキットテストを考慮して、ランボルギーニは今回のSVJにオプションのセミスリックタイヤであるピレリPゼロ・トロフェオRを用意してきた。このクルマがマークした数字の数々は、マクラーレン・セナもポルシェ911GT2RSも、ロードテストで出せなかったものだ。少なくとも145km/h程度までは。そこからは、75万ポンド(約1億1250万円)のマクラーレンがジリジリと追い上げてくる。

この6.5ℓエンジンの推進力の凶暴さは、0-97km/hが2.9秒、0-161km/hが6.1秒、0-241km/hが13.2秒というタイムに表れているが、それを余計に並はずれたものと感じさせるさまざまな要素がある。それはもたつきがあり洗練性に欠けるシングルクラッチのトランスミッションであり、実測1770kgとライバルたちより重ためのウェイトであり、そして過給エンジンではないということである。しかし、結局は最後に挙げた、自然吸気だという点にとどめを刺す。SVJのトルクカーブはSVのそれより高くフラットだが、われわれが中速域のパフォーマンスの尺度とする4速での48-113km/h加速は、このクラスの最速記録より1秒かそこら遅い。

とはいえ、それはまったく問題ではない。軽量フライホイールによりイナーシャは小さく、メスのように鋭いレスポンスが、秒単位のパフォーマンスの不足など忘れさせる。いわんや、コンマ数秒単位の遅れをや、である。もっとも、そんな前置きは無用なのかもしれない。度胸を持って、このファビュラスなまでにリニアなエンジンを8500rpmのスイートスポットまで誘えば、SVJは狂気の加速を見せつける。2速での97-129km/hタイムは1.3秒に過ぎないのだ。しかも、これにF1グランプリの黄金期を思い出させるようなソプラノボイスの絶叫が加わるのである。この音の奔流が、路上ではより速く要素でもある。

SVJにとって幸いなのは、ブレーキングの分野では不足がないこと。フロントが400mm、リアが380mmと巨大なカーボンセラミックディスクは、113km/hから40.8mでテスト車を停止させた。さらに公道上の速度域でも、速度調整はイージーだ。このドライコンディションでのストッピングパワーは、マクラーレン・セナの37.4mには及ばないが、同じくV12自然吸気を積む同郷のライバル、フェラーリ812スーパーファストの42.1mは凌ぐ。

テストコース

アヴェンタドールSVJの真のポテンシャルをサーキットで引き出すには、同じことをウラカン・ペルフォルマンテで行う以上に、集中して専念することが必要だというのが、ランボルギーニの見解だ。主な理由はそのサイズや重量、大柄なクルマならではのイナーシャにある。たいていのミドシップ・スポーツカーより重く、タイヤへの負担も大きいが、食いつきのいいトロフェオRを履いているだけに、SVJの横グリップは強大で、スロットルオンでのバランスもいい。ただし、グリップレベルが落ちるにつれて、アンダーステア寄りに向かう。

ブレーキペダルは、踏みはじめのフィールはデッドに感じられるかもしれないが、それはほんの束の間のこと。四輪操舵はとくにターンインでアグレッシブに作動するが、車速を落とし、アペックスへ向かうのを困難にさせることもある。また、ショックの大きい変速は、タイミングを合わせないと、車体の挙動が不安定になる。

ドライサーキット

ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJ:1分5秒2

マクラーレン720S(2017年):1分6秒1

T4を抜ける際には、770psを受け止めるには横グリップが足りないので、回転を上げ過ぎずにシフトして、フェザータッチでスロットル操作するのが賢明だ。

四輪操舵とスタビリティコントロールは、T7への進入でのオーバースピードやブレーキ遅れをうまくリカバーしてくれる。

ウェットサーキット

ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJ:1分19秒5

マクラーレン720S(2017年):1分9秒2

ウエットサーキットを走るまでに、トロフェオRは磨耗し表面が毛羽立っていたが、これがフレッシュタイヤだったとしても溝が浅いので、大幅なラップタイムの向上は見込めなかっただろう。

横グリップの不足とエンジンの重さは、T5のようなコーナーで、きれいに整った軌跡を描くか、荒っぽくスライドさせるかをハッキリ線引きする。

発進加速


テストトラック条件:乾燥路面/気温13℃
0-402m発進加速:10.7秒(到達速度:218.7km/h)
0-1000m発進加速:19.2秒(到達速度:277.1km/h)


マクラーレン720S(2017年)
テストトラック条件:乾燥路面/気温22℃
0-402m発進加速:10.4秒(到達速度:230.9km/h)
0-1000m発進加速:18.5秒(到達速度:289.4km/h)

制動距離


テスト条件:乾燥路面/気温13℃
97-0km/h制動時間:2.65秒


マクラーレン720S(2017年)
テスト条件:乾燥路面/気温22℃

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