ナチュラルな電子制御 ランボルギーニ・ウラカン・エボ 国内サーキット試乗

公開 : 2019.07.12 19:10

自分がコントロールしている実感

最初はスポーツを選ぼうと思っていたが、インストラクター曰く、スポーツよりコルサの方が前輪へのトルク配分が多いので、姿勢はより安定するはずだという。そこでちょっと考えた結果、コルサを選択してコースイン。

コルサを選ぶとスロットルレスポンスも明確に鋭くなり、5.2ℓのランボV10が背中の後ろで熱い爆音を奏でつつ一気に吹け上がって、エボを猛烈な勢いで加速させていく。やっぱりNA=自然吸気のスポーツエンジンは素晴らしい、と実感する場面だ。

そのままメインストレートを全開で駆け抜けると、ストレート後半のパナソニックゲートを過ぎたあたりでインストラクターのペルフォルマンテがブレーキング開始、それを確認する直前、こちらのエボのスピードメーターは260km/hを超えようとしていたと記憶する。

そこからフルブレーキングに入ると、ウラカン・エボは進路を乱されることなく真っ直ぐにスピードを殺して、1コーナーにアプローチしていく。

1コーナーの進入では、後輪操舵が前輪とは逆位相に作動して、軽快にターンインしていく。ヘアピンは進入速度が意外と高いのでちょっと微妙だが、同じく後輪操舵独特のターンイン感覚は、300Rあとのシケインや最終コーナーの進入でも実感できた。

で、それらのコーナーからの脱出に際してアンダーステアをほとんど意識させないのは、トルクベクタリングの効果もあるのだろう。

一方、100Rや300Rといった高速コーナーでは、後輪操舵が前輪と同位相に作動して挙動を安定させているはずで、コースを思い出して徐々にペースを上げたときも、エボは高速コーナーでドライバーに不安を抱かせるような不穏な挙動を見せることは一度もなかった。

一方、サーキットしか走っていないので乗り心地に関して正確な判断はできないが、新仕様の磁性流体ダンパーはその分野でもいい仕事をするのではないかと想像できる。

しかも、ハードコーナリング中には例のLDVIの頭脳が作動して繊細にエボの動きをコントロールしていると思われるが、クルマの挙動やステアリングフィールの変化などによって、その介在を明確に意識させられることがなかったのも素晴らしい。

つまり、明らかに電子制御に走らされている、あるいはクルマに載せられている、という感触を抱くことなく、あくまで自分がコントロールしている実感を得ることができたのだった。

そこはスポーツカーとして極めて重要なポイントだから、ランボルギーニのエンジニアたちは、そこを強く意識してエボを仕上げたのだろう。

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