希有な直6ディーゼル BMW 330d Mスポーツ 試乗 英国でのトップグレード

公開 : 2019.09.02 09:50

先代のF30型3シリーズでは、6気筒ディーゼルを積んだクルマが余裕のある大人なエグゼクティブ・パフォーマンスサルーンとして、ベストグレードといえました。それでは最新G20型ではどうでしょう。

M3が出るまでは英国でのトップグレード

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

もはや多くの説明を必要としない、コンパクトで控えめなエグゼクティブ・サルーンの代表格でもある、BMW 330d。6気筒ディーゼルを搭載し、運動神経の優れた3シリーズは個性的な存在だ。BMWはパフォーマンス・ディーゼルというコンセプトを熟成させ、3シリーズの「d」はビジネス・エクスプレス・サルーンとして、誰にとっても理想的なクルマへと進化したといえそうだ。

ライバルブランドを見ても、アウディ以外はディーゼルから距離を置こうという今のご時世。欧州でもガソリンエンジン・ベースのプラグインハイブリッドに流れる動きもあるものの、ホットなディーゼルモデルの立場を危うくするほどの人気とまでは至っていない。

BMW 330d Mスポーツ
BMW 330d Mスポーツ

エンジンを得意分野とするBMWは、自らの強みをしっかりと理解しており、ディーゼルエンジンの支持も把握している。G20型へと進化した330dは、英国のショールームでは唯一4万ポンド(520万円)の王代を超えるグレード。M3が登場するまでは、英国トップグレードとして君臨することになる。

下位グレードと異なり、330dに用意されるのは、標準とMスポーツのみ。だが後輪駆動か4輪駆動かは選択ができる。エンジンはBMW製のB57と呼ばれる3.0L直列6気筒ディーゼルで、ツインターボ化により264psを発生。Mスポーツではない場合、サスペンションは普通のパッシブダンパーで、ホイールサイズは標準で18インチとなるが、オプションで19インチも選べる。タイヤはランフラットタイヤが付いてくる。

ライバルを凌駕するストロングポイント

Mスポーツを選択すれば、パッシブダンパーながら車高が低くなるスポーツサスペンションに、19インチホイールと、オプションでランフラットタイヤではない、普通のラジアルタイヤを組み合わせられる。加えて2200ポンド(28万円)のMスポーツ・プラス・パッケージを選択すると、バリアブル・スポーツステアリングに、アダプティブ・ダンパーがセットになったMスポーツサスペンション、トルクベクタリング機能付きのアクティブ・リアデフを装備できる。今回の試乗車は後輪駆動のMスポーツで、オプションのMスポーツ・プラス・パッケージが装備されていた。

G20型の330dは、英国では320dと330iに次いで登場したグレード。他のクルマには既に試乗済みだ。だが待ちわびていた初試乗とは異なり、330dの場合は主力となる人気グレードでもないためか、さほど練られた洗練性を得られていないようにも感じられた。

BMW 330d Mスポーツ
BMW 330d Mスポーツ

330dを運転した印象としては、パワーステアリングの調整やスロットル、トランスミッションの設定、滑らかな乗り心地などでは、より良い仕上がりを得ているように思うが、320dをドライブしたときほどの強い印象は残らなかったためだろうか。だとしても、購入を否定するほどのレベルではないのでご安心を。

そもそも、大人が座れる4シーターのサルーンボディで、0-100km/h加速を5.5秒でこなし、現実的な走行環境でも17.0km/L前後の燃費を叶え、磨き上げられたエンジンとハンドリングを備えるという事実は、ほかのライバル・モデルには真似の難しい内容。G20型へと進化した3シリーズには、先進のインフォテインメント・システムとアクティブ・セーフティ技術も搭載され、誰しもが満足できるプレミアム感を獲得している。ストロングポイントで劣る部分はない。

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