インディカーの技術を公道に ダラーラ・ストラダーレ 2.3直4ターボは400ps

公開 : 2019.10.16 09:50

公道では到達できないパフォーマンス限界

スピードを上げずとも、ストラダーレのシャシーが素晴らしいことはすぐにわかる。ステアリングフィールには感嘆する。切り始めは驚くほど軽いが、タイヤの負荷が増えるほどにリニアに重さが増し、タイヤが受ける抵抗感が豊富に伝わってくる。

パワーアシストが付かないクルマは同様な感触を得ていることも多いが、平均以上の繊細さと鮮明さを持ている。ダブルウイッシュボーン式のサスペンションが屈伸しても、ステアリングへの影響も一切ない。

ダラーラ・ストラダーレ
ダラーラ・ストラダーレ

ダンパーは低速側と高速側で調整が可能で、衝撃の吸収性も酷いものではない。中間の硬さで設定された試乗車の場合、市街地での速度ではお尻には盛大に振動が伝わってくる。速度が増すほどに、テンションの掛かったフィルムにタブが支えられているかのように、落ち着きが出てくる。

路面と抗することなく充分な上下方向の動きを備えつつ、コーナーではボディロールを生じない。2速や3速で抜けるようなコーナーでは、目を剥くほどの強力なフロントグリップを発生。コーナリング時のクルマの一体感も驚くほどの水準にあり、フロントタイヤを一糸乱れずリアタイヤが追従していく。

ストラダーレのパフォーマンスの限界値は、公道では到達できないような高いところにある。今回の試乗でも、その一部には触れることができなかった。

ボッシュ社によるフォード製エンジンのチューニングにより、フォーカスRSからさらに鋭いレスポンスとパワーが引き出されている。一方でロータスエキシージ・スポーツ410に搭載されたトヨタ製V6エンジンほど、メスのような鋭さにまでは至っていないと感じた。

シャシーが叶える驚異的なポテンシャル

驚異的なポテンシャルは、すべてシャシーによって与えられている。素晴らしいバランス性が凄まじいグリップ力を生み出し、リアタイヤが滑り出すまでアンダーステアは殆ど発生しない。

せっかくのシャシーを活かし切るにも、ホンダのVTECのようなパワートレインを選ぶべきだったのかもしれない。トランスミッションも、さらに熱くしたホットハッチには素晴らしい質感だが、軽量なサーキット仕様としては、やや精度の面で足りていない。

ダラーラ・ストラダーレ
ダラーラ・ストラダーレ

だがステアリングは完璧なまでに鮮明で、ドライバーの背中を軸にクルマは向きを変える。シャシーは柔軟でありながら、想像できないほどに懐が深くポテンシャルも高い。

一部のライバルと比べると高価なことは否めないし、パワートレインの刺激も不足気味。しかし、サーキットでは最もリスペクトされるブランドの1つから誕生した革新的な1台だ。一般道で感服するまでのパフォーマンスを備えているが、サーキットで実力を証明する必要があるだろう。

ダラーラ・ストラダーレのスペック

価格:15万9600ユーロ(1883万円)
全長:4185mm
全幅:1875mm
全高:1041mm
最高速度:265km/h
0-100km/h加速:3.3秒
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:855kg
パワートレイン:直列4気筒2300ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:400ps/6200rpm
最大トルク:50.9kg-m/3000-6000rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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