マイナーチェンジ フォルクスワーゲン・パサート・オールトラック2.0に試乗

公開 : 2019.10.19 09:50

エンジンや乗り心地の磨き込みにやや不満

2.0 TDIに搭載される2.0Lディーゼルターボのサウンドは、明確にディーゼルしている。1.6 TDIのユニットよりも絶え間なくカラカラと、特有の唸り声がなり続ける。

ロードノイズも小さくない。それほど荒れていない路面でも明確にゴロゴロと転がり音が車内に侵入してくる。内装の仕上がりやボディサイズから想像するほど、走行時の安らぎ感が得られない。今回のリフレッシュに合わせて対策を施すべきだったと思う。

フォルクスワーゲン・パサート・オールトラック2.0 TDI 190 4モーションDSG
フォルクスワーゲンパサート・オールトラック2.0 TDI 190 4モーションDSG

走行時の洗練性も、さほど良くはない。小さな起伏が続くような路面では、一回り小さいTクロスより足さばきが上手ではない様子。1.0Lクラスのゴルフと比較しても落ち着きはない。クルマとしての静的質感は高いが、走りからは価格相応という印象は受けにくいといえる。

オールトラックには4輪駆動とわずかに高い車高にアンダーボディ・プロテクトが付いてくる。中身としても、オフロード・モードにヒルディセントコントロールが備わる。滑りやすい路面や軽いオフロード環境に対応する力は、通常のパサートよりも高い。

冷たい雨が降りやすい冬場の高速道路でも、安心感は高いはず。高速道路ではディーゼルらしく低回転域が有効だが、必要ならフルスロットルを与え、スポーツモードにするかパドルシフトでの操作でクルマは目覚める。大きなフォルクスワーゲンは、その気になれば活発に走行することも可能だ。

ライバルモデルの完成度は低くない

フォルクスワーゲン・オールトラックの価格はほぼ4万ポンド(532万円)。エクステリアは価格なりの磨き上げられ方といえるが、乗り心地の落ち着きや安楽さという点では、もう少し手間をかける余地が残っている。

ディーゼルエンジンは、目一杯回してもさほど見返りはないものの、オンロードでもオフロードでも、不満のない推進力は得ることができる。だが、エンジンもロードノイズもうるさいと感じられるし、価格から期待するほどのダイナミクス性能も備わっていない。

フォルクスワーゲン・パサート・オールトラック2.0 TDI 190 4モーションDSG
フォルクスワーゲン・パサート・オールトラック2.0 TDI 190 4モーションDSG

このクラスのクロスオーバー・ワゴンの選択肢は多くはない。もし興味があるのなら、ボルボV60クロスカントリーやアウディA4オールロードをしっかり比較した方が良いだろう。通常のパサート・ワゴンは広く価値を認められるモデルだが、オールトラックをその評価に加えることは難しいと感じた。

フォルクスワーゲン・パサート・オールトラック2.0 TDI 190 4モーションDSGのスペック

価格:3万9185ポンド(521万円)
全長:4777mm
全幅:1832mm
全高:1506mm
最高速度:223km/h
0-100km/h加速:8.0秒
燃費:15.4km/L(WLTP)
CO2排出量:133g/km
乾燥重量:1725kg
パワートレイン:直列4気筒1969ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:189ps/4000rpm
最大トルク:40.7kg-m/1900−3300rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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