【M・ベンツCLAクラス試乗】CLA 200 d 新型ディーゼル・クーペの価格/内装を評価

公開 : 2019.12.07 12:10  更新 : 2021.12.28 00:12

どんな感じ?

CLAクラスには2Lディーゼルと2Lターボの2仕様用意されている。試乗したCLA 200 dはCLAクラスのベーシック仕様に当たる。

とはいえ搭載エンジンは32.6kg-mの最大トルクを誇り、Aクラス(5ドア車)ではAMG車を除いたラインナップの最上位モデルに搭載される。上級志向の強いモデルに相応のパワートレインである。

メルセデス・ベンツCLA 200 d
メルセデス・ベンツCLA 200 d

4ドア・クーペのスペシャリティなキャラに実用性能と燃費が売りのディーゼルの相性も気になるが、これは心配無用。さすがにディーゼルでは「カムに乗る」ような高回転の切れ味はないが、4000rpmを超えても失速感はない。少なくとも高回転が苦手のエンジンではない。

もちろん、回さずに速いが身上。1500rpm前後の巡航回転数にしても、加速中の使用回転レンジの低さにしても太いトルクをそのままに感じさせてくれる。また、ペダルワークに対するトルクの増減もリニアであり、勾配の緩急が頻繁な山岳路での速度コントロールも容易。

エンジンフィールも軽く、振動や騒音も少ない。ガソリン車とエンジンフィールは異なるがノック音などディーゼル感覚も少ない。心地よく使えて頼もしいパワートレインだ。

ベンツ車らしさ

フットワークの評価は、ちょっと微妙。登り勾配の急加速で段差を乗り越えると前軸まわりがばたついたり、リアサスからの突き上げが目立ったりと、剛と柔の両面で気になる部分があった。

と指摘しつつ、少々重箱の隅を突いているような気もするのだが、同日に試乗したA250 4マティック・セダンの印象が良かっただけに気になってしまう。

メルセデス・ベンツCLA 200 dの前席
メルセデス・ベンツCLA 200 dの前席

ただ、CLAのキャラに不似合いとは思わない。

僅かに荒っぽいヤンチャな感じがスポーティ感や若々しさを演出。神経質な反応を抑え、揺れ返しなどの雑味が極めて少ない操縦感覚や、高速でうねり路に入ったときの姿勢の安定などの安心と扱い易さはベンツ車ならでは。そこを押さえた上での「外した」感じは悪くない。

凄みある走りと快適な走りの二元論で評価すれば中途半端と誤解されかねないが、上手に按配を付ければ楽しく心地よく走れる。

フォーマルを着崩す、正統のカジュアル、外観の印象もそんな感じだが、走りのまとまりも同様である。

「買い」か?

セダンと4ドア・クーペの定義は曖昧である。セダンに分類されていてもスタイル重視で後席を虐めているモデルもある。そう考えれば、CLAはセダンに分類してもおかしくないほど後席の居心地への配慮がある。

ユーザーの「4ドア」に対する実用性への期待を裏切らない、と言い換えてもいいだろう。

メルセデス・ベンツCLA 200 dのトランク。後席は4:2:4分割可倒式だ
メルセデス・ベンツCLA 200 dのトランク。後席は4:2:4分割可倒式だ

実用面で決定的な違いがなければAクラス・セダンとの比較検討は必須。もちろん、決め手はルックス。

同仕様のAクラス・セダンとの価格差は約50万円である。相応の嗜好的価値を見出せるかどうかが分岐点。ただ、これは投資効果の単純な比較でしかない。

試乗モデルのCLA 200 d相応のモデルはAクラス・セダンにはなく、CLAクラスにはA180セダン系に相当するモデルがない。ラップするのは上位設定となる「250 4マティック」のみである。ちなみにA&Bクラス(5ドアHB)には最上位仕様(除くAMG車)として「200 d」をラインナップし、CLA 200 dとB200 dの価格差は50万円だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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