【ロードテスト】ルノー・クリオ ★★★★★★★★★☆

公開 : 2019.12.07 11:50  更新 : 2020.01.05 23:02

新開発プラットフォームの採用第1号である5代目クリオは、キャビンの広さと、フランス車らしいしなやかな乗り心地は、期待値をやや下回っていますが、高い質感と洗練性を備えながら、低めの価格設定が魅力的です。

はじめに

欧州製コンパクトカーで買うべきは何か。英国市場でいえば、円熟したパッケージを求めるならフォルクスワーゲン・ポロ、とにかく走り重視ならフォードフィエスタだろう。

しかし、必ずしもそれが絶対ではない。非力ながらも楽しく個性溢れるハッチバックを送り出して来たルノーが、それらのベンチマークを脅かす存在となったことも少なくはない。

それは販売面でも言えることだ。まもなく新型が登場すると知られていたにもかかわらず、昨年の英国でのセールスで、クリオは先に名を挙げたライバルたちを凌いだのだ。

肥満気味ながらも愛すべき初代クリオは、1990年にパリ・モーターショーで登場。そこから数えて、今回の新型は5代目に当たる。新型プラットフォームを得て、ツインモーターのEV仕様や、このセグメントでは類のないハンズフリー走行を可能にするレベル2自動運転への対応も行う予定だ。

今や、欧州における販売台数の半数近くはクロスオーバー車が占めている。背の低いスタンダードなハッチバックは劣勢だ。そんな中、ルノーはなじみあるデザインを踏襲しながらも、このクリオを全面的に刷新したのである。

結果、新型クリオは実に魅力的なクルマに生まれ変わった。インテリアの質感も大きく引き上げられている。マルチメディア方面のテクノロジーもまた充実し、それでいて価格はポロよりずっと安く、フィエスタさえも下回る。もちろん、クロスオーバー系モデルより低価格だ。

しかし、オートカー的に注目したい要素はほかにある。新型は、先代モデルより軽量化されながら、剛性は高まっているのだ。ここまで挙げてきた利点に加え、賞賛すべき走りも身につけているのだとすれば、このクラスの王座奪取は確実。はたして、新チャンピオンは誕生するのだろうか。

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