【ロードテスト】ルノー・クリオ ★★★★★★★★★☆

公開 : 2019.12.07 11:50  更新 : 2020.01.05 23:02

内装 ★★★★★★★★☆☆

新型クリオのエクステリアにおける、ルノーのアプローチを定義づけるのは保守主義だ。しかしそれが、スタイリッシュに生まれ変わったインテリアにはみられない。全面改修としても、かなり広範囲な変更がなされたといえる。そして、その結果は実に前向きだ。

純粋に見た目のレベルでいえば、新型クリオのインテリアは、このクラスにおいてモダンで見栄えがいいほうの部類だ。その成功の中核をなすのは、デザインの絶対的にミニマルなアプローチだ。とくに、ダッシュボード上部を横切る送風口のクリーンな水平基調のラインと、タブレット風のディスプレイとわずかなスイッチ類を配するまったく新しいセンタークラスターには、先代では望み得なかった熟成と洗練が感じられる。

フランス車の定石どおり、モノクロ調でもフィエスタやヴォグゾール・コルサなどよりスタイリッシュだ。
フランス車の定石どおり、モノクロ調でもフィエスタヴォグゾールコルサなどよりスタイリッシュだ。    MAX EDLESTON

上位機種では、その新たなデザイン言語がさらに引き立つ。それは自由度の増した色使いや、ドアやダッシュボード上面をはじめとして多用されるソフトなプラスティック素材によるものだ。

逆に、テスト車のアイコニック仕様は生真面目な雰囲気が漂うモノクロームな環境だが、フランス車の定石どおり、それでもフィエスタやヴォグゾール・コルサなどよりはスタイリッシュだ。

とはいえ、実用面では物足りなさもある。通常時391Lという荷室容量はクラス最大級だが、その分、後席スペースに妥協のあとが見られるのだ。レッグルーム620mm、ヘッドルーム910mmは、ポロの690mm/950mmに見劣りする。なお、そちらの荷室は351Lのキャパシティを持つ。どちらが快適に過ごせるかは明らかだ。平均的な体格であっても、大人ならクリオの後席のほうが窮屈に感じるだろう。

とはいえ、このルノーの決断は、ユーザー層を考えると正解なのかもしれない。ヤングファミリーには、フル4シーターより、子どもが乗るのに十分なリアシートと、乳母車や多くの荷物を詰めるラゲッジルームを備えるクルマのほうが歓迎されがちだ。まさに、そうしたひとびとが、コンパクトカー購買層の多数を占めているではないか。

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