【凶暴な大型犬を飼いならす】ラディカル・ラプチャー 500ps/tの公道マシン

公開 : 2019.12.27 09:50

荒々しく生々しいパワートレイン

インテリアから受ける気持ちの高まりは、ダラーラ・ストラダーレと同様に、さほど高いものではない。ラディカル・ラプチャーのオーナーは、クルマがどう見られるかではなく、自分がどう走らせられるのか、に価値を見出すタイプなのだ。

コクピットの環境は、走行するという点に関しては満たしている。でも、わたしの身長は190cm近く、足元の広さも肘周りの広さも少し規格外。快適に感じるのには無理があった。

ラディカル・ラプチャー
ラディカル・ラプチャー

バッテリーのスイッチをオンにして、イグニッションキーを回し、スターターボタンを押すとエンジンが目覚める。ドライサンプということもあり、充分に温まるには少し時間がかかる。

エンジンが温まっても存在感は荒々しく生々しい。ハーフスロットルを与えると、リジッドマウントされたパワートレインの衝撃で、身体は前後に揺さぶられる。ギアボックスを操作すると、コツンと振動があり、低回転域で高音のメカノイズが響く。

低回転域を使って都市部の流れに合わせるような運転の仕方は、ラプチャーが目的とするものではない。一般道でも乗り心地は許容できる範囲にあるが、路面電車のレール付近の凹凸では大きく揺さぶられ、郊外の道に出たいと感じさせられる。

すべてが直接的だから、ラプチャーに乗っている時は集中力が低くなることはなさそうだ。冬の濡れたサーキットでは手に負えなくなるかと思ったが、そうでもなかった。

濡れたサーキットも許容する操縦性の高さ

365psのエンジンと軽量シャシーの組合せで、クルマは猛進するように加速する。しかし操縦性は良好で、ラプチャーだけでなくサーキットにも不慣れなドライバーでも、事故なく数ラップを楽しむことができたことは素晴らしい。

電子的なサポートは一切なく、ドライバーが感じ取れる挙動や操作に対するフィードバックは非常に重要。ラプチャーは路面が濡れていても低速度域でも、横荷重が低くても、充分に多くを伝えてくれる。

ラディカル・ラプチャー
ラディカル・ラプチャー

ステアリングはクイックで、重み付けや触感は素晴らしく、路面の状態やタイヤのグリップ状態をしっかり教えてくれる。ハンドリングの俊敏さは高いが、グリップレベルも極めて高い。

ラディカル・ラプチャーが履くのはヨコハマ製の高性能タイヤだが、濡れた路面は不得意科目。それでも限界領域でもしっぺ返しを食らうこともなく、トラクションも充分で、ブレーキング時の姿勢も安定していた。

ブレーキペダルの質感も優秀。漸進的に増える効きの強さが、操る自信を高めてくれる。

ラプチャーから得るドライバーの満足感を評価するのは、また後日。気温が高く、路面の乾いた日に改めたい。恐らく全身の筋肉を使うチャレンジになるだろう。

アリエル・アトムやケーターハム・セブンとは異なるが、一般道でも安全に走行でき、サーキットへの往復もある程度は快適に運転ができるのがラプチャー。先代のSR3 SLを思い返すに、サーキットでは鮮烈な走りをドライバーに楽しませてくれるに違いない。

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