【SUVのSクラス】新型メルセデス・ベンツGLS 400dに試乗 乗り心地以外は期待通り

公開 : 2020.01.02 10:20

SUVのSクラスと表現される最上級モデルがGLS。高級感溢れる車内と、驚くほど上質でパワフルなディーゼルエンジンを搭載していますが、乗り心地が水を指している様子。英国で評価しました。

3代目に進化したSUVのSクラス

text:Simon Davis(サイモン・デイビス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
巨大なメルセデス・ベンツ製SUVのGLSが3世代目に突入した。メルセデス・ベンツ自らSUVのSクラスと表現する最上級モデルでもあり、巨大なボディサイズはそれを象徴するようだ。

全長は5210mmで実際のSクラス以上に長い。本気のオフローダー、Gクラスの全長は4873mmだから、GLSはふた周りほど大きい。2019年の初めにアメリカで試乗をしているが、広大な土地のおかげか、大きなボディサイズを問題に感じることはなかった。

メルセデス・ベンツGLS 400d 4マティック AMGライン・プレミアム
メルセデス・ベンツGLS 400d 4マティック AMGライン・プレミアム

今回は英国での試乗。大きなSUVが入り組んだ町並みに溶け込むことは容易ではない。それでもレンジローバーアウディQ7BMW X7などはロンドンでも珍しい存在ではないから、GLSがひとり巨体な転入生というわけでもないけれど。

今回試乗するGLSは400d。随分と大きなボディの割には、比較的合理的なエンジンを搭載している。2.9Lの直列6気筒ターボディーゼルで、330psと71.2kg-mを発生。9速ATと組み合わされ、4輪を駆動する。

英国価格は、AMGライン・プレミアムが7万5040ポンド(1050万円)からで、AMGライン・プレミアム・プラス・エグゼクティブになると9万1540ポンド(1281万円)に達する。

2020年には6気筒のガソリン・ターボエンジンと、合理性に欠けるAMG GLS 63も上陸するだろう。恐らくGLS 63の方は、ちょっとした一軒家が買える値段になるはず。

Sクラスの期待に及ばない乗り心地

アメリカで試乗したのはGLS 580だったが、英国に当初導入される400dにはEアクティブ・ボディコントロールが備わらない。そのかわり、アダプティブ・エアサスペンションが標準装備となる。

いざ走り始めてみると、GLSの乗り心地には少しがっかりしてしまう。Sクラス並みという言葉を信じて走り始めると、ふつふつと疑問が湧き出てくる。郊外の傷んだ路面を通過すれば、GLSは明らかに平穏さを保つことに苦労しているようだ。

メルセデス・ベンツGLS 400d 4マティック AMGライン・プレミアム
メルセデス・ベンツGLS 400d 4マティック AMGライン・プレミアム

車重が2.5t目前で、引き締まった姿勢制御を実現させるために硬いアンチロールバーを装備しているためだろう。高い位置で感じる揺れは、ストレスに感じるといわざるを得ない。轍や起伏を超えた際には、強い振動を生じることもある。

おそらく殆どの場面でBMW X7の方が落ち着いた乗り心地を叶えている。GLSが22インチのアルミホイールを標準装備にしているのに対し、X7は21インチだということも影響しているはず。

大きな路面のうねりに対しては、GLSの垂直方向の制御はとても良好。サスペンションが縮む際は枕のような柔らかさで受け流し、伸長時に浮き上がるような素振りもない。

コーナリング時は、巨体を操っている感じは常に残るが、車重を考えれば充分評価できる挙動にある。グリップ力にも不足はない。冷え込んだ日の試乗となり、フロントタイヤに修正を加えるスタビリティコントロールが頻繁に介入していたが、仕方ないだろう。

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