【500以上に楽しい走り】フィアット・パンダ・クロス・ハイブリッドに試乗

公開 : 2020.02.12 10:20

愛らしいデザインのフィアット・パンダ・クロスにマイルド・ハイブリッドが登場です。12Vのベルト統合型スターター・ジェネレーターという内容で、電動化による恩恵は限定的ですが、パンダらしい楽しさは健在。トリノで評価しました。

もくじ

フィアットのイメージを再定義していく
欠点はあっても運転が楽しい
嫌いになるのが難しい個性
フィアット・パンダ・クロス・ハイブリッドのスペック

フィアットのイメージを再定義していく

text:Simon Davis(サイモン・デイビス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ボクシーでチャーミングな、小さなイタリアン・ハッチバック、フィアット・パンダ・クロスに電動化技術が搭載された。都市部での利用にも適したSUVであると、多くの人を説得するかのように。

黒いプラスティックそのままのボディトリムと、高くなった車高に目が行くが、その内側には前輪駆動のシティカーが隠れている。もっとも、これは以前と変わらない。

 フィアット・パンダ・クロス・ハイブリッド・ローンチ・エディション(欧州仕様)
フィアット・パンダ・クロス・ハイブリッド・ローンチ・エディション(欧州仕様)

パンダ・クロス・マイルド・ハイブリッドは、フィアットが電動化技術を採用したコンパクトモデルを軸とするメーカーだと、再定義に動き始めた第一歩となる。このことが重要だろう。

電動化技術といっても「マイルド」だから、しっかり一歩を踏み出したというより、つま先を少し伸ばした程度。数週間後に開かれるジュネーブ・モーターショーでは、純EVのフィアット500eが発表となるから、確実に歩みは進むはず。

まずは少しずつ進むことが必要。フィアットも手をこまねいているだけではない。

パンダ・クロス・マイルド・ハイブリッドは、先日ご紹介したフィアット500マイルド・ハイブリッドと同時の発売となる。搭載するシステムも同じで、1.0Lの3気筒自然吸気ガソリンエンジンと、電圧12Vのベルト統合型スターター・ジェネレーター(BSG)が選ばれている。

減速時やブレーキング時には運動エネルギーを電気エネルギーとして回収し、容量11Ahのリチウムイオン電池を充電。停止時やコースティング時にはエンジンを休止させ、燃費の向上を狙う。

欠点はあっても運転が楽しい

バッテリーに蓄えた電気エネルギーは、加速時にエンジンを支援。システム総合での最高出力は70ps、最大トルクは9.3kg-mと控えめな数字となっている。

ペースが穏やかな都市部では、パンダ・クロスは運転しやすい。追加された電気モーターは、わずかに確認できるレベルではあるが、加速時の力添えをしてくれる。走り出しはスムーズだ。

 フィアット・パンダ・クロス・ハイブリッド・ローンチ・エディション(欧州仕様)
フィアット・パンダ・クロス・ハイブリッド・ローンチ・エディション(欧州仕様)

発進以降は、パンダの力不足が見えてくる。クルマの速度を流れに乗せていくには、右足でしっかりアクセルペダルを踏んでいる必要がある。しばしば、長時間深く踏み込んでいることもあるほど。

といっても、イタリアの小型車的で楽しい。時々パンダにムチを打って走らせている気にもなるが、制限速度を大きく超えてしまう心配もない。危険性も、そのぶん少ない。

楽しさ任せにエンジンの回転数を引っ張っても、燃費としての見返りは何もない。今回の試乗を通じて得られた平均燃費は、12.3km/Lだった。カタログにはWLTP値で17.5km/Lという数字が載っているから、差がついてしまった。

もともと背の高いクルマの車高が高くなり、重心高が上がったことは、コーナーを曲がるとはっきりわかる。比較的控えめと思えるスピードでカーブへ進入しても、明確なボディロールが発生してしまう。

波打ったような路面では、バウンドするような素振りも見られた。その間、たとえ乾燥していても、タイヤは路面を掴み続けるのに苦労している様子。結果、シャシーはさほど攻め込まずともアンダーステアを引き起こしてしまう。

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