デザインで選んで後悔ナシな走り? フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド(2) 燃費19.6km/L

公開 : 2025.06.17 19:10

最新グランデ・パンダに1.2Lハイブリッド登場 オリジナルとイメージを共有するボディ 実用的でお洒落にまとまった車内 キビキビ程よくエネルギッシュ 乗り心地良好 UK編集部が試乗

なかなかたくましい1.2L HVの走り

フィアットは、グランデ・パンダに2種類のエンジン版を用意した。今回試乗したのは、1.2L 3気筒ガソリンターボに6速デュアルクラッチATと駆動用モーターを組み合わせた、ハイブリッド。非ハイブリッドの設定もあるが、英国へは導入されない見込み。

ハイブリッド・システムは、フィアットがT-ジェン3と呼ぶもので、能力的にはマイルドと呼べる範囲。駆動用モーターは29psを発揮し、28km/h以下の低速域なら電気だけで最長1km走行できる。

フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド・ラ・プリマ(欧州仕様)
フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド・ラ・プリマ(欧州仕様)

発進させてみると、滑らさや力強い速度上昇ではバッテリーEV版のグランデ・パンダ・エレクトリックへ及ばないものの、排気量を考えればハイブリッド版もなかなかたくましい。0-100km/h加速は、10.0秒で処理するという。

最高出力110ps、最大トルク14.7kg-mで、電気モーターが低域でのトルクを補完。6速デュアルクラッチATとの協調性も高く、普段使いで力不足や洗練不足を感じることは殆どないと思う。濡れた路面で急加速を求めると、フロントタイヤが空転するが。

キビキビ程よくエネルギッシュ 乗り心地良好

ホイールベースが短めで、車重は1380kgと比較的軽く、身のこなしはキビキビと程よくエネルギッシュ。適度に重いステアリングホイールが、運転中の安心感を高めている。

とはいえ、ステアリングやボディの反応は予想しやすく軽快ながら、シャシーとの一体感を誘うものではないだろう。充分に運転を楽しめるものの、体験が深く記憶に残るタイプとは呼べない。

フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド・ラ・プリマ(欧州仕様)
フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド・ラ・プリマ(欧州仕様)

小さい割に、乗り心地はかなり良い。大きな凹凸の衝撃は吸収しきれないものの、舗装のツギハギなど細かなものは巧みに均してくれる。やや背が高めのボディでありつつ、ユサユサと揺さぶられるような素振りもない。

燃費は、カタログ値で19.6km/Lが主張される。イタリアの一般道を走らせた今回の試乗でも、その数字へ実際に迫っていた。

デザインで商談を進めても後悔ナシ?

グランデ・パンダ・ハイブリッドは、英国ではポップ、アイコン、ラ・プリマという3グレード展開。試乗したラ・プリマでは17インチ・アルミホイールの他、ヒーター内臓のフロントシートやバックカメラ、バンボックスと呼ばれるグローブボックスが備わる。

優れたパッケージングと、スタイリッシュな見た目が好ましい、グランデ・パンダ。走りや乗り心地、装備は充分に納得できる水準にあり、デザインに惹かれて商談を進めても、後から不満が出ることは少ないのではないだろうか。

フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド・ラ・プリマ(欧州仕様)
フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド・ラ・プリマ(欧州仕様)

ダイナミックな走りは、期待できないかもしれない。しかし、お手頃な価格と優れた燃費、小さくても実用性の高いボディなど、それ以上の強みは沢山備わる。このフィアットとの爽快なドライブには、古い楽曲のポップなリミックス版も良く似合いそうだ。

◯:レトロさとモダンさのバランスが良いデザイン 小さなサイズでも広々車内 比較的お手頃な価格 良好な燃費
△:動的特性は、スタイリッシュなデザインへの期待に届いていない ドライバーへの警告音が少々うるさい

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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