コスパ優等生 グランデ・パンダ:ベスト・コンパクト賞 濃密個性 ディフェンダー・オクタ:ベスト4x4賞 AUTOCARアワード2025

公開 : 2025.07.29 19:05

2024年後半から2025年前半で、各カテゴリーのベストを称えるAUTOCARアワード スーパーカーからコンパクトカーまで、各部門を制した栄えあるモデルは? UK編集部が5台を選出

斬新アイデアをカタチに コスパの優等生

フィアット・グランデ・パンダは、開発でコストが追求された。退屈な小型車になっていた可能性はあるが、違った。同社らしく、斬新なアイデアをカタチへ落とし込み、魅力的なクルマの提供に腐心されている。

ボディサイドは、PANDAとプレスされている。ダッシュボードやタッチモニターの外形は、イタリア・リンゴット工場屋上にあった、オーバル・テストコースがモチーフ。少しレトロで独創的なデザインは、フランソワ・ルボワーヌ氏の手腕といえる。

フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド(英国仕様)
フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド(英国仕様)

お値段は、英国では1万8000ポンド(約356万円)から。バッテリーEV版も、3000ポンド(約59万円)の上乗せで済む。欧州では、最もお手頃なEVの1つに数えられる。

インフォテインメント・システムにクルーズコントロール、バックセンサーなど、装備も充実している。廉価版のスチールホイールですら、ホワイトに塗られチャーミング。スマホの充電ケーブルは、巻取り式で場所も取らない。コスパの優等生だ。

ドライバーの多様な期待へしっかり応える

走りも好印象。マイルド・ハイブリッドは100psを発揮し、流れの速い郊外の道へ苦労なく対応する。さらにEV版は112psで、出だしの加速が気持良い。

スクエアなボディは運転席からの視界に優れ、車内空間は高さ方向にも前後方向にも広々。荷室は421Lと余裕があり、ダッシュボード上のトレイやセンターコンソールの小物入れまで、実用性にも抜かりない。

フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド(欧州仕様)
フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド(欧州仕様)

乗りやすさと価格、洗練されたデザインという総合力で、グランデ・パンダは競合を圧倒する。燃費や電費も褒められる。ドライバーの多様な期待へ、しっかり応えるコンパクトカーだ。

ダイナミックな走りこそランドローバーの真髄

ディフェンダー・オクタは、ランドローバーの新ヒーローかもしれない。南アフリカの海岸沿いに広がるオフロードを飛ばしたのは、2025年1月。ダイナミックな走りには、伝統あるブランドの真髄が現れていた。

物理の法則を覆すような、オンロード性能にも目を見張る。車重は2.5tに達するが、スポーツタイヤを履けば、0-100km/h加速は4.0秒を切る。

ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタ(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタ(英国仕様)

スポーツサスペンションを組んで車高を落とし、悪路から距離をおいたスーパーSUVは珍しくないが、ディフェンダー・オクタは違う。「6D」と呼ばれる姿勢制御技術とアクティブ・エアサスペンションが相乗し、身のこなしと走破性を両立させている。

悪路性能を担保する最低地上高は323mmで、渡河水深は1m。ボディ後端が路面と接する角度、デパーチャアングルは43度と深い。舗装路での見事な走りを叶えながら。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    役職:ソーシャルメディア・エグゼクティブ
    AUTOCARのSNS担当として、X、YouTubeショート、インスタグラムなどの運営を任されている。以前は新聞紙や雑誌に寄稿し、クルマへの熱い思いを書き綴っていた。現在も新車レビューの執筆を行っている。得意分野はEVや中古車のほか、『E』で始まるBMWなど。これまで運転した中で最高のクルマは、フォルクスワーゲンUp! GTI。 『鼻ぺちゃ』で間抜けなクルマだったが、家族の愛犬もそうだった。愛さずにはいられないだろう。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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