化粧パネルに「竹」 フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド(1) 温故知新な新モデルを解説

公開 : 2025.06.17 19:05

最新グランデ・パンダに1.2Lハイブリッド登場 オリジナルとイメージを共有するボディ 実用的でお洒落にまとまった車内 キビキビ程よくエネルギッシュ 乗り心地良好 UK編集部が試乗

29psの電気モーターを積んだ1.2L HV登場

最近は温故知新といえる、レトロフューチャーなデザインを採用するモデルが多い。フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッドもその1つ。かといって、古い楽曲を安直にリミックスしたような、少しつまらないものとは異なる。うれしいことに。

AUTOCARの読者なら、新しいグランデ・パンダはバッテリーEVから投入が始まったことをご存知だろう。だが、ステランティス・グループの巧妙なスマートカー・プラットフォームを活用し、1.2L 3気筒ターボガソリンのハイブリッドも選べるようになった。

フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド・ラ・プリマ(欧州仕様)
フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド・ラ・プリマ(欧州仕様)

6速デュアルクラッチAT内に、29psの電気モーターが組まれるシステムを採用。前輪駆動だが、追って四輪駆動版も追加予定にある。同グループのシトロエンC3や、フォルクスワーゲンTクロスなどが主なライバルになる。

オリジナルとイメージを共有するボディ

グランデ・パンダを、フィアットはスポーツを省いた「ユーティリティ・ビークル」だと表現している。間もなく、新しい「パンダ」も登場予定だが、そちらとは別物。バッテリーEV版と同じスタイリングは、1980年のオリジナルの影響を隠さないとしても。

ヘッドライトは、ドット絵を思い出させるピクセル状。センターピラーはブラックアウトされ、サイドウインドウをスッキリ見せている。ボディサイドにはPANDA、リアにはFIATと、エンボス加工されている。ボディカラーは7色から選択できるという。

フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド・ラ・プリマ(欧州仕様)
フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド・ラ・プリマ(欧州仕様)

車高が高めのハッチバックで、全長は3999mm、全幅が1763mm、全高は1750mm。テールゲートにハイブリッドと小さく記され、充電ポートが給油リッドに置き換わっていることが、バッテリーEV版との違いとなる。

今回の試乗車は、2万1035ポンド(約410万円)で最上級となる、ラ・プリマ・グレード。スタイリッシュなデザインの17インチ・ホイールを履いていた。16インチ・スチールホイールの見た目も、パンダらしくて好きだ。

実用的でお洒落にまとまった車内空間

インテリアも、基本的にグランデ・パンダ・エレクトリックと共通。実用的でありながら、お洒落にまとまっている。鮮明なイエローのアクセントが、各部を引き締める。

ダッシュボード正面は横に長い楕円形で縁取られ、ワイドなモニターを囲むフレームも楕円形。これは、イタリア・トリノのリンゴット工場の屋上にあった、テストコースがモチーフらしい。

フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド・ラ・プリマ(欧州仕様)
フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッド・ラ・プリマ(欧州仕様)

車内は広々。バッテリーEV版と異なり、フロア下に駆動用バッテリーが積まれないため、後席側の足元空間はより広いという。全長が4mを僅かに切る小ささを考えれば、印象的なゆとりといえる。

ただし、フロントシートは硬め。アクセルペダルは、やや手前側すぎると感じる人がいるかもしれない。メーター用モニターに表示される情報は限定的。運転支援システムのアラームは、もう少しボリュームが小さくてもいい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フィアット・グランデ・パンダ・ハイブリッドの前後関係

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