ロードテスト BMW M8 ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2020.02.15 19:50  更新 : 2020.02.21 21:21

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

BMW Mがはじめて高級スーパーGT市場へ参戦したことを、彼らが突如としてソフトな路線に転じたのだとは、これっぽっちも考えないほうがいい。

M8コンペティションの第一印象は、シャープなプレスラインやくっきりしたエッジ、大口を開けたインテークなどは、これまでのMモデルと変わらぬアグレッシブさをみせる。たとえルーフを取り去ったとしても、だ。

M5コンペティションと同じ4.4LツインターボV8は、最高出力が626ps/6000rpm、最大トルクが76.5kg-m/1800~5800rpmをマークする。
M5コンペティションと同じ4.4LツインターボV8は、最高出力が626ps/6000rpm、最大トルクが76.5kg-m/1800~5800rpmをマークする。    OLGUN KORDAL

テクニカルな面においても、手加減は一切ない。グロスブラックの大きなキドニーグリルの背後には、M5コンペティションと同じ4.4LツインターボV8が鎮座。このパワフルなガソリンユニットは、最高出力が626ps/6000rpm、最大トルクが76.5kg-m/1800~5800rpmをマークする。

そのアウトプットを受け止めるのは、トランスミッションが8速AT、デフがアクティブ制御のMディファレンシャル。4WDシステムのxドライブは完全調整可能だが、デフォルトではリア優勢のセッティング。M5がそうだったように、望めば後輪のみを駆動することも可能だ。

CLARプラットフォームはM仕様の強化版で、ねじり剛性がアップ。方向転換の動きは、スタンダードな8シリーズよりもダイレクトになっている。

コンペティション仕様はエンジンマウントを強化し、前輪のキャンバー角を拡大することで、ハンドリングのレスポンスが鋭くなっている。英国市場へは、この仕様のみが導入される。

しかしこのシャシー、難題を残している。それがウェイトの問題だ。1885kgというクーペの公称重量は、4ドアのM5より5kg重い。コンバーティブルはソフトトップながら、2010kgもあるという。テスト車の実測値は2020kgで、前後重量配分は53:47だった。

これだけ重ければ、それなりに強力なブレーキが必要だ。そこで、Mコンパウンドを標準装備し、カーボンセラミックディスクをオプション設定。BMW初のバイワイア作動システムは、アダプティブダンパーや電動機械式ステアリング、4WDシステム、トランスミッションとスロットルのマッピングと同様に、ボタンひとつでレスポンスや作動ぶりを調整できる。

理論上、新型の電動機械式ブレーキブースターは、サーキットユースで温度が上昇してもペダルレスポンスの変化を低減できるはず。それは追い追い検証していこう。

スティールのコイルスプリングを用いるサスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク。このクラスではエアサスペンションの採用例も多いが、M8コンペティションには設定されていない。

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