【究極の1台】初代レンジローバー・バンデンプラを回顧 泥地を駆け抜け、高級ホテルを目指す

公開 : 2020.04.07 11:50

現在では「クラシック」という称号付きで呼ばれる初代レンジローバー(1970年デビュー)こそが、クロスオーバーSUVの起源でしょう。流行の、まさに原流域レンジローバー・バンデンプラを回顧します。

もくじ

今をときめくSUV、誕生の瞬間
デザインより機能 生まれた芸術品
バンデンプラはなぜ究極なのか

今をときめくSUV、誕生の瞬間

text:Takuo Yoshida(吉田拓生)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)

スポーツカーの起源を言い当てることは難しいが、今をときめくクロスオーバーSUVの起源ならば話は簡単だ。

現在では「クラシック」という称号付きで呼ばれる初代レンジローバー(1970年デビュー)こそがその元祖であることは誰の目にも明らかだからである。

今年で誕生から50年、4代に渡って作り続けられ、プレミアム・クロスオーバーSUVの開祖として君臨するレンジローバー。2代目の途中でBMWの資本が入り、3代目もBMWの影響を受けている。レンジローバーはスポーツやイヴォーク、ヴェラールといった派生モデルも生み出している。
今年で誕生から50年、4代に渡って作り続けられ、プレミアム・クロスオーバーSUVの開祖として君臨するレンジローバー。2代目の途中でBMWの資本が入り、3代目もBMWの影響を受けている。レンジローバーはスポーツやイヴォーク、ヴェラールといった派生モデルも生み出している。

元祖クロスオーバーSUVこと初代レンジローバーのベースとなったのはタフで泥っぽいランドローバー・シリーズであり、終戦直後の1948年に誕生した初代ランドローバーのヒントとなったのは、軍用のウィリス・ジープであることもはっきりしている。

高名な自動車エンジニアであるチャールズ・スペンサー・キングをはじめとする開発陣が考えたレンジローバーのコンセプトは以下のようなものだった。

イギリスのカントリーサイドに住む貴族が、自分の領地(小高い丘や泥っぽい林道含む)を駆け回った後、モーターウェイを飛ばしてロンドンのホテル前に横づけできる。

従来のランドローバーでは、カントリーサイドの用事は完璧にこなせても、高速道路を飛ばして走るとか都会的な風景に馴染むといったことはできなかったのである。

このために初代レンジローバーはスタイリングとインテリアのデザインを洗練させ、対候性や快適性を高め、そしてフルタイム4輪駆動の機構やサスペンションシステムに最新のものが盛り込まれたのである。

デザインより機能 生まれた芸術品

初代レンジローバーにはデザイナーがいない、というのはよく語られる逸話である。

高級感を出そうとかカッコをつけようというマーケティング的な目論みなしに、エンジニアが徹底的に機能性を追求していった結果として、直線基調のシンプルだが品格のあるスタイリングが生まれたといわれているからである。

デビュー当初のレンジローバーは2ドアモデルのみ。シートやステアリングの見え方からも、低いウェストラインと広い視界が伺える。後に顧客からの要望に応えるかたちで4ドアモデルがデビューしている。黒いドアノブの大きさに注目。
デビュー当初のレンジローバーは2ドアモデルのみ。シートやステアリングの見え方からも、低いウェストラインと広い視界が伺える。後に顧客からの要望に応えるかたちで4ドアモデルがデビューしている。黒いドアノブの大きさに注目。

「砂漠のロールス・ロイス」などと呼ばれ高級車にカテゴライズされるレンジローバーだが、初代のスタイリングには確かに色気のようなものは見当たらない。

ヘッドランプは1960年代の常識だった丸目2灯だし、低いウェストラインとガラス面積が大きなキャビンは広い視界を確保するため必然的にそういうかたちになっているだけ。

アイコンにもなっている上下2分割のテールゲートもルーフ側に重量物をぶら下げるほどの強度を持たせたくないための副産物だった。

しかも誕生当初は、ボディ構造を極力シンプルにしたいというエンジニアの思想から、2ドアモデルしか用意されなかったほどなのである。

だがこうしたミニマリズムを追求した設計思想が、逆にデザイン面においても高く評価される結果にもなっている。

初代レンジローバーは、フランスのルーブル美術館に自動車として初めて展示されるなど、高い走破性やプレミアム感のみならず、芸術的な評価も得ているのである。

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