【生き残るのはどのメーカー?】決算発表 トヨタ/ホンダ/マツダに「差」 コロナ後どう見据える

公開 : 2020.05.17 05:50  更新 : 2020.05.17 13:56

日本経済の大黒柱、自動車産業が苦境に立っていることが明確に。すでにおこなわれたトヨタ/ホンダ/マツダの決算発表の内容をまとめ、各社がどのような見通しであるかをお伝えします。伝わってくる熱量にも違いが。

決算発表 トヨタのインパクト強し

text:Kenji Momota(桃田健史)

日本経済の大黒柱、自動車産業が苦境に立っていることが明確になった。

国が全国39県を対象に、緊急事態宣言の解除に向けた最終調整をおこなっていた、今年(2020年)5月12日。トヨタの決算発表の内容を見て、日本の先行きに大きな不安を感じた方が多かったに違いない。

2020年5月12日、2021年3月期に関する極めて厳しい見通しを述べる豊田章男社長。
2020年5月12日、2021年3月期に関する極めて厳しい見通しを述べる豊田章男社長。

テレビやネットで大きな話題となったのは、2021年3月期に関する極めて厳しい見通しだ。

2020年3月期と比べて、連結販売台数では21.9%減となる895万8000台から700万台への大きな減少。

さらに、営業利益では2兆4000億円から5000億円まで79.5%減と一気に落ち込む。

手持ち資金は十分だが、予備として1兆2500億円の融資を受けた。

豊田章男社長は「リーマンショックより、(トヨタ及び自動車産業界に与えるインパクトは)はるかに大きい」と、これから訪れる厳しい状況を真正面から捉えた。

その上で、リーマンショック後の社長就任以来、トヨタらしさを取り戻すために講じた様々な変革により、地に足がついた回復軌道に乗ることへの自信を見せた。

だからこそ、他社では作成は難しい来年3月期の見通しを、あえてこの時期に公表した。

サプライヤーに対して、ディーラーに対して、そして日本経済界全体に対して、コロナ終息という出口に向かうまでの「基準」を示したかたちだ。

一方、ホンダは……。

創業家経営者/サラリーマン経営者の差

トヨタの一方で、ホンダは淡々としていて危機感が伝わってこない。

トヨタ会見終了の約1時間後から始まったホンダの決算報告に、そうした感想を持った方が多いのではないだろうか。

2019年度ホンダ・グループ販売台数(12か月間)
2019年度ホンダ・グループ販売台数(12か月間)    ホンダ

創業家経営者と、サラリーマン経営者との「会社に対する思い」の差が明確になった印象だ。

会見の内容は、一般的な決算報告の流れであり、仕向け地別での事業内容を紹介するスタイル。

社会に対するメッセージ性は弱かった。

来年3月期の予測については「合理的な算定ができない」という説明のみで未公開となった。

手元資金は2兆9300億円あり、今後の状況に応じて金融機関等からの融資を考慮する可能性もあるとした。

会見の中で、経営陣が強調したのは、ホンダの変革はすでに始まっており、その効果が近年中に確実に出るという点だ。

四輪の量産事業については、今年(2020年)4月1日付で、本社と研究所が融合する新体制となった。

商品戦略としては、地域専用車に対する考え方を根本から見直し、グローバル市場での派生車を現在の3分の1程度まで圧縮する。

生産体制については2022年を目途に合理化を進める。

その上で、事業計画に優先順位をつけて「やるもの」と「とめるもの」に仕分け、「生き残るための投資は続ける」というが、具体的な例を挙げての説明はなかった。

では、マツダはどうなのか?

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